思い出の地、神戸に名を刻む=旧移住センター改修事業=県連が第1弾寄付1万レ=2、3世にも協力を=3月末まで受付け

ニッケイ新聞 2009年1月20日付け

 旧神戸移住センターの改修・再整備事業にあたって日伯両国で行なわれている募金活動で、十六日、ブラジル日本都道府県人会連合会から、募金受付けを代行するカワサキ・ド・ブラジル社へ第一回目の寄付として約一万レアルの目録が手渡された。県連では三月末まで募金を受け付ける。今後も各県人会などを中心に協力を呼びかけていく考えだ。
 募金運動の目標額は二千万円。ブラジル側では個人一口五十レアルから受け付けており、集まった募金は、改修後の建物内に設置が計画されている在日ブラジル人や中南米の日系人を対象にした教育設備に充てられる。
 寄付者の氏名は改修落成後、施設内の壁に刻まれる。(希望により記銘しないことも可能)
 同改修事業は国や県の補助を受けて神戸市が行なうもの。募金運動は神戸にある「海外日系人会館(仮称)協力委員会」。が実施しており、委員長の西村正氏(日伯協会理事長)が昨年四月に来伯した際関係団体へ協力を呼びかけた。
 西村委員長が同市に本社をおく川崎重工の副社長だったことから、現在は伯カワサキ社がブラジル側関係団体との連絡などを代行し、これまでに県連ほか、文協やブラジル日本商工会議所などに協力を要請している。
 県連では昨年一月から募金受付けを開始した。百周年の関連イベントなどが続いたことから当初は伸び悩んでいたが、年末に再び協力を呼びかけてから倍増。このほど第一回目の寄付が行なわれることになった。
 十六日午前十一時から県連事務局で行なわれた寄付贈呈には、カワサキ社の澁谷吉雄社長、県連から与儀昭雄会長、園田昭憲、山田康夫両副会長、尾西貞夫兵庫県人会長が同席。与儀会長から同社長に一万三百二十五・一〇レアルの目録が手渡された。
 澁谷社長は、一九九九年にブラジルの日系団体から神戸市長へ同センターの保存を求める陳情書が提出されたことをきっかけに改修・再整備に向けた取組みが始まった経緯を振り返り、「ブラジルからたくさんのサポートの声を届けてほしい」と話すとともに、「これからも皆さんに募金の趣旨を理解してもらい、目標達成に近づけたい」と述べた。
 与儀会長は「できるだけ多くの名前をのせられるよう、これからも募金をお願いして行きたい」と語った。山田副会長も「移住者の大半は神戸から出港した。思い出の地、神戸に亡き父母・祖父母の名前を残すことができる」と話し、今後も呼びかけを続けて行く考えを示した。
 澁谷社長によれば、改修落成後の建物の名称を「神戸市立『海外移住と文化の交流センター』」とすることが昨年十二月に決定したという。四月に竣工式、五月末に落成を予定している。
 今回贈られたものが、ブラジル国内の団体から寄せられた最初のものだという。県連には今年一月十五日現在で、百三十三の個人・団体から寄付が集まっている。同会では今後も、各県人会に対し総会の折などに呼びかけてもらいたいとしている。
     ◎
 募金の方法は、県連の銀行口座へ振り込むか、または県連事務局へ直接持参しても構わない。
 振込先は次の通り。
【銀行名】=Banco do Brasil S.A.
【支店名】=リベルダーデ支店
【支店番号】=AG.1196-7
【口座番号】=C/C.27.458-5
【口座名】=FEDERACAO DAS ASSOCIACOES DE PROVINCIAS DO JAPAO NO BRASIL
 銀行振込み時に書類に名前が残らないため、名前と領収書のコピーを県連までFAX(11・3207・5224)する必要がある。詳細等は県連(11・3277・8569)まで。