サントス上陸記念碑=新公園に移転を検討=大竹モニュメントに近接=県連関係者が現地を視察=代表者会議で討議

ニッケイ新聞 2009年1月23日付け

 サントスのポンタ・ダ・プライアにある『日本移民ブラジル上陸記念碑』をサンヴィセンテとの境界近くにあるジョゼ・メニーノ海岸に建設中の「エミサリオ・スブマリーノ公園」(今月二十六日に開園予定)に移転させる計画が、県連とサントス市の間で進んでいる。駐車スペースの問題に加え、移転先の公園には、昨年六月に皇太子殿下を迎えてイナウグラソンが行われた大竹富江さんのモニュメント「二十一世紀の波」があることから、ジョアン・タヴァレス市長が強い意向を示している。同市唯一の日系市議、中井貞夫氏(金星クラブ会長)からの打診を受け、二十一日に現地を視察した与儀昭雄県連会長は、「とてもいい場所。今よりもっとみんなに見てもらえる上、移転にかかる費用もない」と喜びながらも、今月二十九日にある代表者会議で討議したいと話している。
 『日本移民ブラジル上陸記念碑』は一九九八年のブラジル日本移民九十年祭の記念事業として、九七年に県連に建立委員会が発足。当時会長だった網野弥太郎現顧問は、「日本や北米、ボリビアなど国内外から募金が集まった」と振り返る。
 九八年六月二十一日に挙行された除幕式には、故小渕恵三外務大臣(当時)、笠戸丸移民の中川トミさんも出席、日本人移民の第一歩を象徴する記念碑として訪れる人も多い。
 「昨年の百周年では日本からたくさんの人が来てくれたんですが…」。県連から委託され、記念碑の管理清掃を行うサントス日本人会の遠藤浩会長によれば、「駐車スペースが時には混雑する路上しかないため、徐行する車のなかから見るだけという団体もあった」と残念がる。
 記念碑の前には、自転車やジョギングする人が通る道もあることから、写真撮影のさい、通行者の邪魔になることもしばしばのようだ。
 今月二十六日の市制記念日に開園式を行う移転先の公園には、大竹富江さんの記念モニュメントがあり、駐車場(約二百台)も隣接。サーフィン大会の会場ともなり、観光案内所も設置される。
 「近くに蘭公園などもある。地方から団体で来てもらい、色々楽しんでもらえるのでは」と遠藤会長は期待する。
 中井市議は、「県連の決定があれば、すぐにでも移転は可能。費用はサントス市が負担する」と話し、「今年の移民の日(六月十八日)には、公園で日本文化イベントも行いたい」と新しい観光地の誕生に全力を挙げるる考えだ。