コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年2月6日付け

 文協会長選挙が行われるのは四月だから、まだ先の話だと思っている人が多いようだが、実は今月二十日に決まるといっていい▼というのも、前回の選挙から〃改革〃され、会員が会長を直接選べなくなった。会員が選べるのは評議員だけで、その評議員が理事会を選ぶ間接選挙になった訳だ。一般会員からすると「分かりにくくなった」ともっぱらの声だ▼つまり、どんな評議員が選ばれたかで、誰が会長になるかがすでに決まっているも同然と言える。その評議員の立候補の締め切りが二十日だ。その締め切り日までに、規定の立候補用紙に必要事項を記入して文協に届ける必要がある▼評議員に立候補しただけで「どうして会長が決まるのか」といえば、会員にとって、顔の分かりやすい会長選挙と違って、評議員立候補者の大半は知らない人ばかりだからだ。会員は「知名度がある人」「コロニアの有名人」に一票を投ずる傾向がある。つまり、いかに、知名度があって特定の会長候補者を支持する候補者(団体)を立てられるかで、大勢が決まる▼評議員選挙では、立候補者が少なければ、現体制が立てる候補者しか選択肢がなくなるので、結果的に現体制追認が決まる。対抗勢力が候補者を多数、とくに知名度のある候補者を立てたかどうかで、選挙の成り行きが大きく左右される。それが分かるのが二十日だ▼評議員選挙自体は三月二十八日、今から一カ月半も先だ。通常、選挙が迫って関心が湧いてくる三月は、すでに立候補が締め切られた後だ。制度をよく理解していないと状況に流される。この〃改革〃は、実に現体制に都合よく練られたものだ。(深)