ブルーベリー栽培法を確立=農大の大島さん、沖さん=手ごろな国産品めざして=苗木販売で普及を

ニッケイ新聞 2009年2月7日付け

 ブラジルでは栽培が難しいとされていた食用ブルーベリーの栽培をこのほど確立した日本人がいる。沖眞一さん(69、広島県、サンパウロ市)と大島正敬さん(68、宮崎県、ミナス州カンブイ市)だ。無農薬の採れたての小さな果実を口にほうり込むと、優しい甘味が広がるブルーベリー。二氏が共同で栽培をしているサンパウロ市とミナス州カンブイ市の苗畑を訪ね、今後の抱負を聞いた。

 これが本格的に流通するようになれば、「手頃な価格で国産ブルーベリーが手に入るようになる」と期待を込める二氏。まずは、苗を一般人や専門家に販売するところから徐々に広めたいと張り切っている。
 大島さんと沖さんは共に東京農業大学OB。校友会ブラジル支部の会長を務める大島さんは、サンパウロ市から百八十キロほどのミナス州カンブイ郊外でバラ農園を営み、副会長の沖さんは、サンパウロ博物研究会の技術担当理事で桜植樹のコンサルタントとしても活動する。
 ブラジル向きに改良されたブルーベリーは、温暖地向きとされるラビットアイ系の五種類。二〇〇一年に植物学者の故橋本梧郎氏が日本から苗木を持ち帰り、沖さんが苗を譲り受けた。試行錯誤に六年を費やし、〇七年に「誰が育ててもうまくいく」(沖さん)栽培法を確立した。
 「アロマテラピーにもいい。毎朝、植物に触って癒されて、その場で採ったブルーベリーをヨーグルトに乗せて食べたり、一度で二度美味しい」と沖さん。
 現在では、実生苗を三回植えかえ、計二年をかけて六十センチに育った苗を一般や専門家に販売している。
 育てるためのポイントは、「湿度を保つために木の皮や草を土の上にのせた鉢植えを日の当たる所に置いて、毎日水遣りをして、一カ月に一度硫安などの肥料をあげるだけ」という。
 一鉢二十レアル。希望者には一人五鉢まで販売、また専門家には千鉢から予約を受け付けている。問い合わせは沖さん(11・5589・3283)まで。
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 ブルーベリー(学名バキニウム=Vaccinium Mystilus L.)は、ツツジ科スノキ属に分類される落葉性果樹で、原産地の北米ではそのまま食べたり、ジャムや菓子で毎日口にするほど馴染み。日本でも近年は、「目に良い」と人気を呼んでいる果実だが、ブラジルでは輸入品が主なため、高価だ。
 健康食品などで視力改善効果が謳われているアントシアニンが豊富に含まれているほか、ベリー系果実は尿路感染症に効果があり、膀胱炎などの治療・予防に効果的といわれている。また、ポリフェノールが豊富に入っているため、抗酸化力が強い。