コロニアの将来考える=評議員有志らが懇談会=サンパウロ市文協に求めるものは

ニッケイ新聞 2009年2月13日付け

 ブラジル日本文化福祉協会の評議員有志を中心とした「コロニアの将来を考える懇談会」が一月三十一日午前、文協会議室で行われ、十七人が文協の今後について議論を深めた。

 呼びかけ人は評議員の田辺豊太郎さん。尾崎守さん(評議員)、浜田照夫さんらが毎月懇談会を催しており、拡大版として、特別に文協会長選挙に立候補している小川彰夫さん(評議員)らが招待された。
 「仏作って魂入れずではいけない。あくまでUNEN(日系団体連合会)について話し合いたい」と田辺さんは切り出したが、五十嵐司さん(評議員捕)ら参加者からは「組織じゃなく運営の問題。新組織を作ってもしっかり運営しないとUNENの二の舞」「あれは念仏に近い。唱えるだけ」との声も聞かれ、話題の中心はおのずと文協選挙に収斂した。
 全伯を統括する連合会をどうするべきかという観点から、田辺さんが「現在の文協はリベルダーデ文協」と批判すると、尾崎さんも「新しい連合体を作るのでなく、今後、文協が実体としての連合体になっていけばいい」とのべた。
 中沢宏一さん(評議員)は「かつてはコチア産組や南伯が全伯との関係を補ってきた。だからサンパウロ市には連合会がなかった。足元を固める時代になった」と分析し、「文協はまずサンパウロ市の主要団体をまとめるべき。それが主体となって全伯をリードしていくのが理想だ」との持論を披露した。
 〃チェンジ文協〃を旗印にする会長候補の小川さんも「たまに地方にいって挨拶するだけの役員ではだめ。日系社会を一つにするには、地方から認められる団体にならないと」とし、「二千会員の中には三百の企業がいる。一般会員より高額な会費を払っているが、今までは文協からお礼すらしていない。もっと会員としての利点を考えるなど、会員を大事にするべき」などとのべた。
 館沢功之さんが「文協は経営基盤をしっかりしないと。その検討も重要」と提案すると、赤嶺尚由さん(評議員)は「文協はお金がないのではなく、周りが投資したくなるプロジェクトがないとの意見があるが、私も同感。無為無策ではお金の集めようがない」と一刀両断した。
 諸川有朋さん(文協理事)は「文協は日本文化を二世、三世、四世に真剣に伝えるための団体になるべき。そのための方策を、文協が中心になって考えなくては」と提言した。
 田中洋典さんも「文協の職員で副会長の名前すら知らないのがいるし、史料館を見たことないのが半分以上いる。自分の家のトイレがどこにあるかも知らないで、お客さんを呼ぶことはできない」と忌憚のない意見をのべた。
 浜田さんは「今のままでは文協は第二老人クラブのよう」との印象を一言。さらに「文協の会費、県人会、老人クラブ、俳句会などをみんな払うと何百レアルにもなる。共通化するようなアイデアはないか。老人の楽しみを奪わず、二世は二世で平行してやっていく方法はないか」。
 最後に諸川さんが「本当にコロニアのことを考えている人に評議員になってもらいたい」との希望をのべて終わった。