聖南西=教育技術向上と親睦深め=ピニャール=楽しく教師合同研修会=すぐに役立つアイデア満載

ニッケイ新聞 2009年2月19日付け

 聖南西教育研究会による教師合同研修会が一月二十七日からの三日間、コロニア・ピニャール日本語モデル校及び青年図書館宿舎で行なわれた。この研修会は日本語教育に関する情報の収集と、教育技術の向上を図ると共に、地域の教師の親睦を深めることが目的。聖南西地区の教師二十六人に、サンパウロ市の教師やボツカツ、イタペチの青年ボランティアら地区外からの教師も加え三十一人の参加者があった。

 二十七日午前九時、地元ピニャールの文化体育協会の広瀬義夫会長、聖南西文化体育連盟の田中得朗教育部長から激励の挨拶を受けて開講した。
 日本語の理論を学習する講義だけではなく、形式を気にせず、地区の教師が実際に本当に役に立つことを自分達で行うことを方針としているため、講師の多くは地区の教師が務めた。
 初日の午前は、弓場パウロ講師が『ブラジルの日本語教師』というテーマで講義を行った。午後は参加全教師が五分程度でそれぞれの学校活動のアイデアを紹介した。非常に様々なアイデアが発表され、参加者からは「今度やってみよう」という声が多く聞こえ、実際にすぐに役に立つアイデアをたくさんもらったと非常に好評だった。
 その後、老人クラブ連合会に派遣されている貞弘昌理JICAシニアボランティアにより、『日本語授業にすぐ役立つレクリエーション』が行われた。歌やパネルシアター、ゲームなどを紹介すると共に、参加者も実際に体験して生徒のように楽しみ、「とても楽しかった」「生徒達にやってみたい」と日本語学校におけるゲーム・レクリエーション活動の意義を実感した様子だった。
 二日目は『敬語の指導』『漢字の由来』『朗読の指導』といった講義があった。
 『分科座談会』では日本生まれとブラジル生まれの教師に分かれ、お互いに悩みについての話し合いが行われた。それぞれの立場で悩んでいることが次々に出され、普段あまり発言をしない教師からも本音を聞くことができ、教師の現状が浮き彫りになった。
 今後、教師皆がこの研究会、それぞれの学校において、安心して充実した活動が行えるよう改善をはかっていく上で、この座談会は大きな収穫となった。
 三日目は『実践報告 複式授業』でサンミゲル・アルカンジョ、ピエダーデの両日本語学校についての発表があり、ここでも様々な問題点が出され、教師が苦労して授業を行っている様子が見受けられた。
 最後の講座『幼児教育』は後藤紀子JICAシニアボランティアが担当し、準備もいらず、簡単に幼児の注意をひきつけるお話の作り方の紹介があった。
 これは既製本のお話と違い、長さや語彙や表現などを幼児に合わせて教師が自由に決めることができ、幼児皆が知らない話であるというのが大きな長所。教師を三人グループに分け、実際にお話を作らせたが、どのグループも凝った面白い発表に仕上げ、笑っている間にあっという間に時間が過ぎていった。
 参加者は幼児だけでなく児童でも使えると喜び、成人を指導している教師からも「幼児教育の講義から多くのヒントを得たのは意外だった」という驚きの声があった。
 三日間を通して行われた研修会では、講師の話をただ聞いて勉強する講義は少なく、鉛筆や黒板を使うこともあまりなく、その代わりに参加体験型のものが多かった。
 参加者も「疲れない」「イメージがわく」と好評で、笑いが絶えない楽しい雰囲気で行われた。
 口々に「これで参加費三十五レアルは安い、参考になった」との感想が聞かれ、参加者はたくさんのアイデアをもらった様子。また地区外の教師の参加もあり情報交換や交流も、より一層活発に行われ、楽しく充実した研修会となった。(ピラール・ド・スル通信)