帯広畜産大学=長沢学長ら3人来伯=同窓会と交流、農業視察も

ニッケイ新聞 2009年2月21日付け

 帯広畜産大学から長沢秀行学長ら三人が在伯同窓会と意見交換をするために八日に来伯し、十三日までサンパウロ市やパラグアイで視察や交流をした。
 日本国内には各地にある同窓会だが、海外のおいてはモンゴルやフィリピンが留学生OB中心なのに対し、唯一ブラジルが卒業生による同窓会となっている。約三十年前に当時の西川義正学長が来伯し、それをきっかけに同窓会が設立された経緯がある。
 現在ブラジルにはOBが約二十人おり、新井重孝会長を中心に年に一回ていど集まって同窓会が開かれ、親睦を深めている。今回はOBの一人、ブラジル和牛協会の飯崎貞雄会長が世話をした。
 八日にニッケイパラセホテルで記者会見した長沢学長は初来伯だが、昨年末に東京農工大で行われた日伯農業シンポに参加した感想から、「同窓会に窓口になってもらい、ブラジルの大学と連携して共同研究グループとかをやっていける感触を感じている」という。
 国立大学は〇四年から国の機関から法人化され、各大学の取り組みが重要視されるようになり、私学では一般的な同窓会との情報交換を国立大学も始める傾向がうまれた。
 ブラジルからも留学生三人、研修生八人を受け入れている。昨年まで一年間、大豆やジャガイモ栽培の研究に留学した神谷モニカさん(28、三世)は「先端技術を見ることができてよかった」と感想をのべた。
 一九五三年卒業、翌年渡伯した最古参OBの井田善郎さん(79)は、麻州ソリーゾ市で三百五十ヘクタールの大豆栽培をする。「来てもらってよかった。これを機会に交流を盛り上げたい」と喜んだ。
 八二年卒業の大浦格さん(いたる、49)はひよこの鑑別が専門で、欧州で二年半ほど修行したあと八八年に移住、現在はモジ市イタペチ移住地で花卉栽培に従事する。「息子たちに日本とのつながりを持って欲しい。母校と関係を持ってくれれば言うことない」と期待する。
 同大学の山口公章、中野昌明両参事役と共に長沢学長は十一日にパラグアイのJICA農牧試験場、学術交流提携しているアスンシオン大学を訪問して十三日に帰路についた。