コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2009年2月24日付け

 日本では何はなくとも神社に出向き、祈りを捧げていたのだが、サンパウロへ来てからというもの、色々な歴史ある教会へ行ってはみるものの、どうもしっくりこない。
 あの鳥居を抜けて踏みしめる敷石の感触。手水舎の水の音。鎮守の杜が織りなすひんやりとした空気…。日本人の信仰は自然の要素に富む。
 我らがリベルダーデには立派な鳥居があるが、記号化されて一人歩きしたそれを拝む人はいないし、無論、それだけでは自然は見えてこない。
 アルジャーには立派な神社があると聞くし、イタペセリカにも木立ちの中に金閣寺が立つが、それを生活の中に取り込むことは難しい。
 交通の便の良いところに神社仏閣があるのは、長く人々の暮らしと結びついてきた証拠。そんな場所に笠戸丸移民の頃に植えた木があれば、いずれコロニアの御神木となるかもしれない。(綾)