コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年2月26日付け

 一月往ぬる、二月逃げる、三月去るー。サンパウロの曇天を恨めしく見上げているうちにカーニバルも終わり、すでに二月も最終週。本紙投稿欄「ニッケイ俳壇」に百の文字がめっきり減ろうとも、百周年は遠くなりにけり、とはいかないのが会計問題▼昨年末、百七十六万レアルの未払い金が発表された。四市議が百周年に充てた議員割り当て金の振り込みがまだないことから、「カサビ市長に聞いてみたい」と関係者も首を捻るが、問題はその市長にあるとの噂も▼昨年十月のサンパウロ市長選挙前にあったカサビ候補支援集会。挨拶を頼まれた上原幸啓・百周年協会理事長が「公益団体の長」を理由に断ったことが逆鱗に触れたとか。百周年に全面協力、事ある毎に〃教え子〃と吹聴されていただけに説得力のある話だが、真相はともかく、大晦日のリベルダーデ広場で一緒に餅をつくより、ゴマを擂(す)っておいた方がよかったのではないか▼その上原理事長が転倒し腕を骨折、自宅療養中だと聞いていたが十九日夜、文協であった群馬大学の准教授による講演に顔を見せた。テーマだった『デカセギ子弟教育の現状』をどう受け止めたのだろう。同大と学術提携するUSPの名誉教授としての出席かも知れないが▼「デカセギ子弟教育委員会」のある文協が各方面と連携し、大量帰国が予想される日系子弟のための受け皿を作ることが焦眉の急だ。会計問題も解決すれば黒字決算となり、百周年協会解散後、基金としての活用も可能。まさに「一過性のお祭りに終わらせない」方向性といえるが、上原会長は療養に専念して頂いて次期執行部に期待するのが現実的か。(剛)