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文協=岩手県人会が抗議の脱会=「特典ない」と不満の声=問われる団体との関係=07年末から117会員退会

ニッケイ新聞 2009年4月9日付け

 「抗議の意味で文協を脱会します」――。ブラジル岩手県人会(千田曠曉会長)は先月三十日付けで文協の会員の脱会届を提出、「現体制はコロニアのことを考えておらず、信頼に足りない」と痛烈に批判している。〇七年末から現在までに百十七人(十四法人)が退会しており、法人も含め、会員の文協離れは顕著となっている。一九五六年の創立以来、コロニアが支えてきた文協だが、今その在り方が問われている。

 「県人会と県連は分かるが、文協との繋がりは意味がないのでは」
 岩手県人会は、理事会の場で若い会員からのそういった意見を受け、脱会を決めた。
 「実際、メリットは会場を借りるときだけ。お付き合いで年間四百九十二レアルは厳しいと判断した」という千田会長は、「経済的な問題だけではない」と続ける。
 「今の体制はコロニアのために働いていない。もちろん良くなれば、再入会するつもり」と次期体制に期待を掛けつつ、会員制度の在り方に一石を投じた形だ。
 中島エドゥアルド文協事務局長によれば、約四十の県人会が文協会員となっているが、その多くが創立時や六四年に落成した文協ビル建設のさいに入会している。
 いわば〃心意気〃で文協を支えてきたわけだが、そういった時代を知る県人会幹部も少なくなり、文協もあぐらをかいてはいられない状態といえるだろう。
 県連が毎月開く代表者会議では、「県連が会員になっているのだから、県人会は脱会してもいいのではないか」と発言があった。
 ある会長は、「文協に入っても何もないよ。年貢みたいなものだけど、うちはもう何年も会費を払ってないね」と笑う。
 現在の会員数は三月現在二千三百九十人(三百十七法人)で、〇七年末から百十七人(十四会員)が脱会している。
 今年二月にも日系企業が脱会を申請したが、「カテゴリーを下げることで継続をお願いした」(中島事務局長)
 法人会員は七つのカテゴリーがあり、九千六百レアル(A)から、四百九十二(G)となっている。
 先月二十八日にあった文協総会で評議員が選ばれた。従来の秋田、北海道、福岡、熊本、県連に加え、沖縄、鹿児島、長崎、宮崎、大分、宮城、愛知、鳥取、栃木の計十四団体が当選している。
 理事会選挙への投票権を持ち、選挙後も評議員として、文協運営に発言力を持つことは間違いない。
 各団体の求心力が弱くなっている現在、御三家といわれる両団体の連携も今月二十五日に発足する新執行部の一つの課題かも知れない。

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