大耳小耳

ニッケイ新聞 2009年5月1日付け

 同じ蚕棚で五十数日間の船旅を共にし、ブラジルに移民したコチア青年呼び寄せの第一回花嫁十二人。うち芦川道子さんと木野順子さんの二人があめりか丸同船者会に出席していた。芦川さんによれば、夫婦健在で今年金婚式を迎えられたのは五組。二十歳前後で移民した花嫁も二人が他界したという。あめりか丸の集いも三十二回目。会場では五十年前の青年と子供が、おそらく当時もすれ違っていたのだろうが、白髪交じりで改めて自己紹介する姿もあった。今後も末永く続いてほしいものだ。
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 こちらは渡伯五十四年で初めての同船者会となる五五年のボイスベン号。世話人として意気込む坂和三郎さんは当時二十一歳。大学を卒業したばかりで、大学の仲間四人と一緒の自由渡航だった。船内では、坂和さんが手書きで発行した船内新聞を回していたという。現物は手元に残っていないとのことで残念だが、なつかしく思う同船の人もいるだろう。第一回目の同船者会が有意義なものになることを願う。
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 NHKハイビジョンふるさと発シリーズで、「家族はどこへ~日系人〃派遣切り〃の街から」が三日午後八時三十五分(ブラジル時間)から放送される。滋賀県にあるブラジル人学校を学費が払えずに辞める生徒や、日本とブラジルの狭間で揺れる工場労働者の日系ブラジル人夫婦を映し出す。NHKが見られる人は必見だ。