千葉県人会=待望の〃我が家〃が完成=会員ら集い新会館竣工式=9年越しの悲願叶う=県との記念式典8月に

ニッケイ新聞 2009年5月5日付け

 ブラジル千葉県人会(原島義弘会長)は三日午前十一時から、定期総会と新会館竣工式を開催した。先月十七日に建設業者から引き渡されたばかりの白壁が眩い会館(地下鉄ジャバクアラ駅徒歩一分)に百五十人弱が集まって祝杯をあげ、〃団欒〃を楽しんだ。九年越しの悲願だった新会館建設。しかし実際には、レアル安や金融危機による建設資材高騰でおきた資金難が解消しておらず、母県からの追加支援金の残り半額である三百五十万円を頼りにしている現状だ。

 「みなさんおはようございます」。先亡者への黙祷後、原島会長の第一声で会場からは拍手が沸き起こった。二〇〇〇年の会長就任以来、会運営を引張って来た原島会長のもと、長年間借りして肩身の狭い思いをしてきた同県人会は創立五十二周年目にして待望の〃我が家〃を持った。
 原島会長は会員や母県の協力に深く感謝を述べ、「我が家を持つことができたが、主人一人では維持できない。〃女房役〃の副会長や会員ら一致団結して魂を入れなくては。皆さんのための良い会館にしましょう」と力強くあいさつ。
 そして、母県からの祝辞を代読した。〇七年八月の創立五十周年慶祝団として来伯した堂本暁子前知事は、助成金削減の風潮の中で「ブラジル千葉県人会設立五十周年記念事業協賛会」の特別顧問として音頭をとり、三千二百万円の募金を集めるなど尽力した。
 「全力を尽くしてくれた前知事に敬意を表する形」として堂本前知事からの祝辞を読み上げた。「我がことのように喜んでいます。ブラジルと日本、千葉県との交流がますます活発になることを願ってやみません」
 続いて三月の知事選で堂本知事と交代した森田健作新知事、浜田穂積県議会議長、川上茂県議会日伯友好議員連盟会長・協賛会会長らの祝辞が紹介された。
 議事に移り、〇八年度事業報告を拍手で承認。善村和夫会計理事が〇八年度会計を報告した。
 昨年の収入は会館建設のための県補助金など約九十三万レアル、会費収入三千七百二十レを含み合計約百二万レ。会運営費に約六万七千レを支出した。
 予算案は、八部屋十六人が入居できる学生寮の収入見込みを含め、収入の部が十一万五千二百二レ、同額の支出を承認。
 会計報告、予算案ともに建設費が含まれていないことから、確定していない状態。これについて原島会長は、「まだ県からの追加資金援助の半額三百五十万円が届いていないが、どうなるか分からない。収支決算ができない状態」と説明した。
 六月に表敬訪問する際、「あたって砕けろの精神で森田新知事に協力を求めたい」と宣言した。
 〇九年度事業計画案では、八月二十三日に県と合同で新会館竣工式典を行うことを確認。原島会長は、「八月の母県との合同祝賀会で決算書を作って報告する」と会場に理解を求め拍手で承認された。また、「建設はまだ続いています」と会員に更なる協力を呼びかけて総会を終了した。
 続く祝賀会では、「結婚式もできるわね」「今度からもっと集まらないとね」といった声も会場から聞こえ、午後三時過ぎまで食事や新会館の見学など、それぞれ楽しんでいた。
 父の故川島武夫さんが初代県人会会員だった馬場富江さん(69、モジ在住)は、歴代の会長が会館建設の夢を持ちつつも実現できなかったことを振り返り、「父もあの世で喜んでるでしょうね」と顔をほころばせた。