新型インフル=在聖総領事館に対策チーム=今は「注意喚起」段階=説明会を14日に予定

ニッケイ新聞 2009年5月9日付け

 在聖日本国総領事館は新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の発生を受けて、四月二十八日、約五人からなる対策チームを発足した。七日にはブラジル内で四人の真性患者が確認されたこともあり、十四日に関係団体に向けた「海外邦人安全対策連絡協議会(新型インフルエンザに関する説明会)」を開催することになった。在留邦人などに対する呼びかけ、来伯者が参考にするブラジルへの渡航制限や注意喚起などに関して関係機関に取材してまとめた。

 ブラジル政府は七日、国内で四人(うち二人はサンパウロ州内)の新型インフルエンザ感染者がいると発表、依然として緊迫した状態が続いている。
 同総領事館によると、現在は在伯邦人に対してはマスクの着用や外出自粛などの「注意喚起」の段階にある。
 今後、警告レベル(フェーズ)の引き上げ、国内で感染者が増えた場合などには、「総合的に判断してより強制力のある『勧告』が外務省から発令される可能性もある」という。
 そうなるとブラジルへの渡航自粛が呼びかけられるので、今後、式典を予定している県人会や歌手や芸能人の来伯公演などに影響を与える可能性があり、注意が必要だ。
 それに加え、総領事館の窓口の制限(マスクを着用しないと入館できないなど)などの措置もありえるという。
 すでに死者がでているメキシコでは、日本からの渡航延期勧告、食料の備蓄、マスクの着用、外出の自粛などによる感染防止が呼びかけられている。ブラジルでも感染が広がれば同様の処置が取られることもありえる。
 また、米、メキシコ経由で来伯する人に対しては、現段階では特に制限はないが、機内では体調を崩した人がいないかを確認するアナウンスを実施しているという。
 サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)は、「邦人の新型インフルエンザ感染者、その疑いのある患者は今のところいない」としている。
 また日伯友好病院を含む一般病院では、新型インフルエンザに感染の疑いがある患者の治療は行っていない。サンパウロ市や近郊の病院は、疑いのある患者が診察に来た場合、サンパウロ市のメトロ・クリニカス駅そばのエミリオ・リーバス病院感染研究所に送ることになっている。
 ワクチンがなく、これまでに市販された風邪薬では効果がないという。具志堅茂信事務局長は、「通常の風邪対策をしっかりするしかない」と話し、「渡航自粛地域への旅行は見合わせる」「外出から帰ってきたら必ず手洗いうがいをする」ことを勧めている。