コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年5月12日付け

 古今東西―「政治とカネ」は深く結びつき、収賄や疑惑とスキャンダルは今に続く。最近では田中角栄元首相のロッキード事件や竹下登、金丸信両氏の金権政治が批判の的になったが、田中元首相の「秘蔵っ子」であり竹下・金丸に師事した小沢一郎氏もカネに纏わる西松建設からの献金事件で民主党代表を辞任に追い込まれた▼衆院解散・総選挙で勝利し、夢の政権交代が迫っていただけに残念無念の胸の内だろうが、飽くまでも灰色に近い疑惑の渦は底なしに深い。鳩山幹事長も「説明責任を」と迫ったけれども、小沢氏の返事は沈黙の一語。長老の渡邊恒三氏までが「辞任論」を掲げて若い同志に呼びかけ民主党内は騒然としていたし、反小沢派の動きも激しくなっていた▼新聞や雑誌の非難も高まるし、何よりも国民の大多数が「辞任」を求めているの声が小沢氏には痛かったのではあるまいか。先の黄金週間のときに熟慮し決断したとし「メディア批判の矛先が自分に向いた」と辞任の記者会見で語っているけれども、こうした記事が掲載されるのはマスコミの常道であって小沢氏に余り反省の色がないのは真に寂しい▼献金問題にしても「自分は何にも悪いことはしていない」と強弁するが、後援団体の金銭勘定がかなりあやふやなのは何回も話題になっている。確かに選挙には強く、参院選では大勝利した。しかし、参院第1党になると、なんでも反対に徹し政局的な運営に徹したの是非は問われても仕方あるまい。日本の新聞も「辞任歓迎」一色になると信じているが、果たしてどうなることやらーである。  (遯)