合同歌集「祖国はるかに」=全伯134人が作品寄せる=史料の部、各入選作も掲載

ニッケイ新聞 2009年5月13日付け

 日本移民百周年を記念した短歌の合同歌集「祖国はるかに」が、多田邦治さん(64、徳島)を代表とする合同歌集刊行委員会により編集され、IR・BRASIL社による印刷・製本で二月に発行された。
 一般の応募を募り、全伯各地の百三十四人から歌が集まった。一人二十首詠み、計二千六百八十首が収められている。
 表紙は移民史のシンボルとして、移民船の引き波の彼方に大海原が広がる壮大な構図となった。各短歌には各々の祖国への思いが滲んでいる。
 同歌集には「史料の部」としてブラジル短歌人名事典、ブラジル歌壇年表、ブラジル短歌関係刊行書一覧も収録したほか、海外日系文芸祭、NHK全国短歌大会、明治記念綜合短歌大会、歌会始預選歌の入選作品も掲載。先人に敬意を表して、ブラジル歌人の歌碑を紹介している。
 来社した刊行委員会の多田代表、上妻博彦さん(74、鹿児島)は、「ブラジルにある短歌を、皆の歌を確実に残したかった」と出版への思いを語った。
 同歌集は一般販売は行なわない予定。問合わせは多田さん(電話=11・4654・1525)まで。