母国語で交通安全指導=静岡県=導入2年で事故減少

ニッケイ新聞 2009年5月13日付け

 【静岡新聞】静岡県内在住の外国人に交通ルールの教育を行う「外国人交通安全教育指導員」の制度を県警が導入してから二年が過ぎた。増加する一方だった外国人の事故件数は制度導入の平成十九年から減少に転じ、「母国語での指導の成果が出始めているのでは」(県警交通企画課)との声もある。
 外国人の免許所持者に対する事故件数の割合は統計のある十四年から、日本人の約一・五倍の二・三%前後で推移していた。しかし制度を導入して以降、事故件数は減少し、増加する免許取得人口に対する割合は二十年に一%台となった。
 同指導員制度は外国人の人身事故を減らすため、全国に先駆けて導入された。県警が十九年四月に採用した指導員は、二年間で計四十四カ所の事業所や学校に出向き、外国人三千五百人に日本の交通規則などを指導した。
 日系ブラジル人の派遣従業員約百人向けに、二年続けて同指導員の交通安全教室を実施した矢崎資源天竜工場は「事故の報告もなく、従業員に交通マナーが浸透してきているのでは」と推測する。
 二人目の指導員として本年度採用された日系ブラジル人の片野幸子さん(39)=浜松市北区=は十一日、浜松市中区のブラジル人学校で初めての交通安全教室を開き、業務をスタートさせた。十九歳でブラジルから来日し、母国との交通ルールの違いから横断や運転に戸惑ったという。「児童への指導は親にも広がっていく。必要とされれば、どこでも指導に行きたい。少しでも外国人の事故が減る手助けができれば」と意欲を見せる。