二天研究所と国士舘大=実りあった古武道交流

ニッケイ新聞 2009年5月15日付け

 【既報関連】四月二十四日の「侍の日」に古武道を通して交流した馬場欽司監督(64、剣道七段教士)率いる国士舘大学鶴川剣道部と二天古武道研究所(岸川ジョージ所長)一行は、その後ブラジリア、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、リオで稽古や親交大会などを行った。同研究所の齋藤ミドリさん(三世、20)が本紙を訪れ、交流の様子を報告した。
 一行は、それぞれの都市で剣道型や居合術や防具練習などの稽古をした後、竹刀、薙刀、小太刀などの剣術、剣道の親交試合を実施。親交試合はサンパウロやブラジリアでは日本勢が勝っていたが、後半のブエノスアイレスではブラジル勢が勝利をおさめた。
 また、リオではボタフォーゴの海岸で試合をした。馬場監督と岸川所長は道場外の自然な所で練習を行なっているが、砂に慣れていない剣道部の学生は始め戸惑っていた様子だったという。
 今回、同研究所の生徒らはフォルタレーザやマナウス、ポルト・アレグレなどからも集まり、計約二百五十人が参加した。この中で、「ブラジル人は日本文化と日本人の組織を学び、日本人はブラジル文化と礼儀作法を学ぶことができた」という。
 日頃から岸川所長が技術以外にも礼儀作法の重要性を教えていることから、馬場監督は剣道部の学生に道場外での行為を中心に、同研究所の生徒をモデルとして指導をした。剣道部の学生は古武道を初めて見、武器などに興味を示していたという。
 来伯二回目の馬場監督は「たくさんの子どもたちが練習していることは素晴らしいこと」と語る。今回のブラジル訪問により、同研究所でも剣道型の指導が開始されることになった。剣道部の学生と行動を共にした齋藤さんは「生徒同士の交流があり、言葉が通じなくてもコミュニケーションがとれました」と話していた。
 一行は二週間の滞在を経て、今月四日に日本への帰途についた。
 国士舘大学との交流の様子は同研究所のサイト(www.niten.org.br)でも見ることができる。