新型インフル=総領事館で安全対策会議=企業活動への影響懸念も

ニッケイ新聞 2009年5月16日付け

 新型インフルエンザ発生を受けて、在聖日本国総領事館は十四日、関係者に向けて海外邦人安全対策連絡協議会を開催した。会には日伯友好病院の中内和夫医師長、ジュケムラ・マリリア医師、また、ブラジリア大使館の白石哲医務官も出席し、世界保健機関(WHO)の動きや症状の説明や予防法、対処法などの説明を行った。
 世界保健機関は四月三十日に警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」へ引き上げた。「6」に上がった場合の注意点として、現時点では弱毒性であることが強調された。
 白石医務官によると、「フェーズは感染の広がりのみで判断され、症状は考慮されない。行動指針は強毒性に対するものなので、現実とはかけ離れてしまう。フェーズが『6』になると企業は活動停止などの措置をとらざるを得ず、経済活動にも支障をきたす」と語った。
 協議会に参加した企業代表からも心配の声が挙がった。実際、ブラジル日本通運有限会社(和田亮取締役社長)は二十五日に予定していた三十周年記念式典を当分の間延期すると十二日発表している。
 また、症状別に以下のように区分して説明がされた。◇病気の可能性のある人=病人と二~七日間程接触し、熱、咳、頭痛、鼻水、気分が悪い、関節痛、呼吸難、下痢、吐き気などの症状がみられる人。◇病気の可能性の強い人=米、メキシコなど発生国に十日間以上滞在した人。また、患者を手当てした人や、近くにいた人。飛行機の中で、患者の席の前、後ろ、横それぞれ二つ隣以内に座っていた人。
 ジュケムラ医師によると、病気の可能性のある患者はすぐに病院に行き、検査を受けること。鼻や喉の粘膜をとったり、血液検査をしたりする。発症して四十八時間以内に治療するとより効果的。どこの病院でも連絡をしたら指定の病院を教えてくれるという。
 また、病人と接触した人に対して同医師は「自宅に十日間いることが大切。食器やタオルなどは自分専用のものを用い、手をよく洗うこと。人ごみは避け、換気をよくすること」と語った。
 領事館によると、日本人で自覚症状などを訴え日伯友好病院や同館に相談した人は今のところいないという。また、丸橋次郎首席領事は「幸い毒性は弱いが、企業活動にも影響が出兼ねない。今後もインフル、治安と共に有益な情報を届けたい」と語った。
 在留邦人で、新型インフルエンザに感染した、あるいは疑いがあるとの情報に接した方、指定病院などの問い合わせは総領事館まで。電話=11・3254・0100、平日夜間緊急=11・8586・3421、土日祝日緊急=11・8143・9478。