首都と歩んだ半世紀=ブラジリア入植50年誌=足かけ8年でついに完成

ニッケイ新聞 2009年5月22日付け

 首都日系社会の歩みを後世に――。ブラジリアで編纂が進められてきた「日本人ブラジル移民百周年、ブラジリア日系入植五十周年記念誌」(同刊行委員会編)が今月、刊行された。構想から約八年、ブラジリア遷都とともに入植、首都と歩んできた同地日系社会の歴史を後世に伝える一冊だ。
 ジュッセリーノ・クビシェッキ大統領時代の新首都建設構想にともなって始まったブラジリアへの日本人・日系人入植。食糧供給のため造成された衛星都市を中心に、政府から土地の無償貸与を受けて多くの農業者が入植した。現在の日系人口は約三千家族。
 同記念誌の構想は八年前、同地の故山口道夫さんをリーダーとして始まった。当初は四十年誌を予定していたが、その後、二〇〇三年に首都の五日系団体によるブラジル中西部日伯協会連合会(FEANBRA)が発足したのをきっかけに、初代会長の林繁さんらの呼びかけで百周年、入植五十周年での刊行を目指すことになったという。
 完成した記念誌は全四百八十ページで、二千部を印刷。
 第一部は日本移民のはじまりからブラジリア入植開始までの五十年間を史料や写真などで紹介。続く第二部で、ブラジリア日系入植五十年の歴史、地元日系団体の歩みなどを日ポ両語で綴っている。
 そのほかに紳士録「汎ブラジリア地域在住の日系家族の歴史」として地元の百五十家族を掲載。これはポ語のみだが、各家庭の名字だけは日本語で記されている。
 当初は百周年にあわせた昨年六月の出版を目指していたが、紳士録の締め切り延長などもあって今年にずれ込んだという。今年三月までFEANBRA会長を務めた秋本満敏さんは、刊行委員会関係者への感謝とともに、「ブラジリアでこれだけの規模の記念誌が出版されるのは初めてだと思います」と完成を喜んだ。
 同記念誌は一冊八十レアル。今月十七日に同地の日本語モデル校で開かれた日本文化祭で販売を開始した。サンパウロでも準備ができ次第、販売を始める考えだ。
 同連合会では購入を希望する人に対し、各担当者(林繁=61・9981・2317/秋本満敏=8423・9797/安永邦義=9979・1618/ブラジリア日本語モデル校〈三分一または矢田さん〉=3347・1214)まで連絡してほしいと呼びかけている。