アマゾン移住発祥の地トメアスー=9月式典に向け、準備着々=第1回移民3人も出席=鳥居、ピメンタの像建設も

ニッケイ新聞 2009年5月23日付け

 アマゾン日本人移住発祥の地、パラー州トメアスー移住地で今年九月、移住八十周年記念祭典・関連事業が行なわれるにあたり、海谷英雄・記念祭実行委員長(65、山形)が来聖、領事館、JICA、県連など各方面と調整を行なった。式典が同月十六日に開かれるほか、胡椒のモニュメントや鳥居の建設、農産展の準備などが行なわれているという。海谷実行委員長に聞いた。

 一九二九年九月、トメアスーに入植した四十二家族百八十九人が日本人アマゾン移住の嚆矢。
 密林開拓から、ピメンタ(胡椒)の一大生産地となったことから、「トメアスー」は、苦闘と成功の代名詞でもある。
 パラー州都ベレンから直線距離で南約百キロに位置するトメアスー郡の人口は現在、約六万人。そのうち日系人口は、約千五百人で八割が熱帯果樹の生産などに従事している。
 海谷委員長によれば、「一世は約三割で第一回移民は三人が元気に生活している」という。
 記念行事はすでに相撲大会(一月)、ミス日系(二月)、俳句大会(三月)などが実施されており、運動会、盆踊り、スポーツ大会など、各種記念行事が年間を通して予定されている。
 メインとなるのは九月。十五日には、慰霊追悼法要、翌十六日に、トメアスー文協で式典が行なわれる。島内憲日本国大使(名誉総裁)、アナ・J・V・カレッパ州知事(総裁)のほか、近隣移住地から五百人の出席を見込む。
 農業やスポーツなど各分野に分けた功労者表彰もあり、サンパウロからは、ブラジル都道府県人会連合会(県連)が主催する「第三十二回ふるさと巡り」の一行約二百人も駆けつけ、共に祝う。
 記念事業としては、八十周年記念誌編纂、文協会館の改装のほか、ベレンからの州道のトメアスーへの入り口に、幅八×高さ十五米のアーチを建設する計画が進められている。
 「ベレンからの船で入植者全てが踏んだ」桟橋を軍が修復中で、トメアスー文協も協力しているという。
 邦人社会の中心地となったクアトロ・ボッカスに記念碑の建立も勧められており、「ピメンタをモチーフにしたもの。九月の式典に落成式を行ないたい」と海谷委員長。
 同移住地設立に尽力した千葉三郎氏の銅像がある日本公園(造園は七九年)の改修と共に、鳥居建設の計画も。
 九月十五、六日にある物産展では、JICA協力による写真展も開催される。
 「歴史を感じてもらいながら、八十年のなかでトメアスーの特産物がどう推移してきたかが分かってもらえるのでは」
 なお、〇三年に創立された市立トメアスー日系学校(Escola Nikkei do Tome Acu、生徒数百三十人)では、日本政府による草の根無償資金による校舎建設が検討されているという。
 海谷委員長は、「マラリアや開拓の苦難の歴史を乗り越えた八十年だった。多方面から式典にご出席頂ける方には、アマゾン移民発祥の地を肌で感じてもらい、これを機会に交流を深めていきたい」と話している。