コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2009年5月26日付け

 日本を離れて恋しくなるのは料理、温泉、桜など人それぞれ。だが、日本人の活字に対する思いはことさら強いと思う。
 今月二十四日に文協で開かれた古本市。開場前から行列ができる文協唯一のイベントだ。
 段ボール箱にぎっしり本を詰め、ほくほく顔の来場者もいるなか、「今回は余りいいのがないねえ」と漏らす声も。
 それぞれの嗜好はあるが、新しく、人気作家のものは、やはり早く売れてしまうのは確か。
 本は読まれてこそ価値を生む。積ん読(つんどく)ではなく、いい本はコロニアで共有したいところ。
 本の流通が悪いこともあり、以前は半年に一回だった開催が年一度となったとか。次回開催にあたり、文協ではすでに寄付を受け付けている。
 ボランティアの協力も大きかった。活字文化を皆で盛り上げる古本市になれば、と願う。
 (剛)