東西南北

ニッケイ新聞 2009年5月28日付け

 二十三日二二時半頃、サンパウロ州からミナス州まで往復旅行の帰りに、母子四人乗りの車が二〇〇メートルもある崖から転落した。サンパウロ州クルゼイロ付近で起きた事故で母親と上の娘は死亡したが、真中の娘と末っ子の少年は、二十五日朝発見され、消防隊に救出された。真中の娘は骨盤骨折の重体だが、少年は軽傷で済んだという。人気もない荒地で約四〇時間飲まず食わずで過ごした姉弟。救出した消防隊員も、あの高さから落ちてよく、と思うほどの事故だった。
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 リオ州の原子力発電所アングラ2で十五日、作業中の換気扇切り忘れで放射性物質漏出事故。警報機発動で発覚し、作業員六人の放射性物質除去作業を即座に実施、影響は最小限に食い止めたという事故の発表は二十六日。使用済み燃料処理や作業の安全性など、問題も多いのに、原子力発電は環境汚染ゼロのクリーンエネルギーと売り込み、古い契約停止後、再入札もせず元の業者による建設再開指示など、庶民の感情逆なでのエネルギー政策への不信感がさらに募りそうだ。
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 全国統一の弁護士試験に初めて挑戦したサンパウロ州の弁護士の卵達。合格率一二%は、アマパー一一・六%、マット・グロッソ一一・八%に次ぐ成績不振で、サンパウロ州独自の試験は他州より難しいと思ってきた先輩弁護士や教師達には、衝撃的な結果だ。合格率最高はセルジッピの三三%で、二五%以上合格は北伯、北東伯のみ。朝令暮改のブラジルでは弁護士や会計士も大変だが、天狗の鼻は折れた?
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 二十七日の為替市場では取引開始直後、一時的に買いが一ドル=二レアルを割った。〇八年十月三日以来の安値だが、午後からはやや回復し、二レアル台に戻した。