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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年6月3日付け

 サンパウロ州では「組合」という言葉に、どこか郷愁が漂う。先週、アマゾン入植八十周年の取材でパラー州都ベレン、サンタイザベルなどを訪れた時、いろいろと驚いたことがあったが、中でもトメアスーでの「組合」という言葉の響きの、サンパウロとの違いに感銘を受けた▼コチア、南伯などの中央会が九四年に崩壊したことから、往時を懐かしむような響きがその言葉には付きまとう印象がある。でもトメアスーでは今も、同地文協と組合が両輪となってコムニダーデを支え、力強く動かしている▼「トメアスーはアマゾン移民のふるさとです」という誇らしげな声をあちこちで聞いた。「生きている組合」が地域の中心となっている様子は、さながら日系社会最盛期といわれる七〇年代を髣髴とさせるものであり、羨望と同時に、この貴重な存在がいつまでも続いて欲しいと心から願わざるを得ない▼その意味で、九月の同地入植八十周年は非常に貴重な機会だ。アマゾンに農業という産業をもたらした日本人の功績は、日系社会の重要な節目というだけでなく、まさに日本移民のブラジル貢献を象徴するものだ▼現地では「一世が中心になってやる最後の祭典」という声が強い。現在は戦後移民の強力な面々が支えている日系団体が多いが、これから十年で徐々に世代交代が進んでいくのかもしれない▼今年八月には同組合六十年史が日ポ両語で、元職員の戦後移住者有志らによって刊行される予定。それは二世現幹部から「まずは日本語で歴史を書き残して欲しい。それをポ語にして語り継ぎたい」という強い要望で編纂が開始されたと聞く。今歴史が作られている。(深)

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