静岡県=ブラジル人教会でイベント=ゲームで不況吹き飛ばせ=地元ブラジル人子弟も交流

ニッケイ新聞 2009年6月17日付け

 【静岡県発=池田泰久通信員】静岡県中西部にある菊川市と牧之原市に暮らす在日ブラジル人のプロテスタント系信者が五月三十日夜、菊川市内の教会(CEVA、ヴィクトル・ピニェイロ牧師)に集まり、レクリエーション会を開いた。
 親睦交流や聖書の勉強、新規会員の募集を目的にした同教会独自のイベントで、八十人ほどの信者が市ごとに分かれて様々なゲームを行い、得点を競い合った。
 ゲームは、日ごろの勉強会で学んだ聖書の一節を正しく並び替えるものや、目隠しをしながら手をつないで障害物を通り抜け、食べ物を試食して名前を当てたあと、自分の靴を正しく履くのを競うものなどユニーク。参加者は真剣な表情で各ゲームに取り組み、会場は声援と勝利に沸く歓喜の声で溢れかえった。
 両市の信者で編成したバンドによるロック調の賛美歌の合唱ほか、ダンスタイムなどもあった。参加者らは、経済不況のうっぷんを吹き飛ばすかのように飛び跳ねながら踊り歌い、最後は笑顔を浮かべて抱き合った。
 「グランド・プリックス」と題した同イベントは、この日が第一回目の開催で、菊川チームが勝った。今年九月末までに同様のイベントを続け、総合得点の多いチームが三重県内の大型レジャー施設に遊びに行くことができる。日ごろの聖書の勉強会や祈祷の取り組みなども得点に加味するルールで、会員のやる気を高めるように工夫している。
 同教会は、ピニェイロ牧師が来日した一年ほど前に設立。菊川市の教会の活動場所はもともと荷置き場倉庫で、同牧師の前に別の団体名で活動していた日系人牧師から引き継いだ。菊川・牧之原市の教会合わせての会員数は百人ほど。
 アルゼンチン人が一人いるが、他は全員ブラジル人だ。失職者も多いという。菊川の教会では、週二回ほどある聖書の勉強会と祈祷会に十人ほどが参加。今年七月からは日本語に堪能な日系人牧師による礼拝も始める予定だ。
 この日のイベントには、市内の公立学校に通うブラジル人児童らも数人参加した。学校にいる間と違った様子で、リラックスした表情で友人らと遊び、ポルトガル語を話す姿が見られた。
 ヴィクトル牧師は「日本で生活していると仕事と自宅との往復だけになってしまいがち。ストレスを忘れるためにも、家族や友人と楽しく過ごす時間をもつことが大切。会員も少しずつ増やしていきたい」と笑顔で話した。