ベレン=世界の王者リョート=名井総領事に優勝報告=「パラー日系人の誉」

ニッケイ新聞 2009年6月25日付け

 【ベレン発・既報関連】米国の総合格闘技大会で見事優勝して凱旋を飾った日系二世、町田リョート選手(31、リング名=Lyoto Machida)が十七日午前九時、ブラジル東京農大会副会長の山中正二さんと父親の町田嘉三さんに付き添われ、在ベレン日本総領館に赴き、名井良三総領事に世界の王者になったことを報告した。

 チャンピオンベルトを手にした同選手を迎えた総領事は、歓迎の花束を渡しながら「リョートは我々パラー州の日系人の誉です」と、固い握手を交わしながら「おめでとう」と優勝への祝辞を述べた。また、館員揃っての大歓迎となった。
 優勝報告は約一時間ほどで、父親の町田さんが息子の練習振りや日頃の生活を振り返りながら、これまでのチャンピオンへの道のりを館員らに説明した。
 「過去六年間のたゆまぬ努力が、結果として優勝をもたらしたと思います。成せばなるのだと実感しています」との言葉に居あわせた館員らはうなずいていた。
 リョート選手は鎌田ローザ館員の質問に答え、「勝った瞬間、自分でもその意味を確認できませんでした」などと淡々と答えていた。
 試合の間、父親・兄弟二人がリングサイドで、日本語で適切に指示したという。家族のチームワークがここ一番の大勝負の舞台裏を支えた。
 父親は冗談混じりに「リョートは我々の指示に従うロボットなんですよ」と笑いながら照れた表情を見せ、町田家全員がいかに空手を愛し、邁進したかを感じさせた報告となった。
 リョート選手は謙虚さをにじませながら、「好きだからやれます。体を鍛えることも必要、だが一番大切なことは精神を統一し、いかに無心になることができるかも重要です。また、相手の挑発に乗らず、リングに上がったら、絶対勝つんだという信念が大切だと学びました」などと語ったことで、逆に秘められた勝利への意欲の強さを印象付けた。
 ニッケイ新聞の質問に答えた父親は、「防衛する側になったので、これからも鍛錬を怠りません」と、力強くその決意を述べた。(下小薗昭仁通信員)