コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年6月27日付け

 コロニアにも痛快な毒舌家はいる。あの佐藤栄作首相だったかが「人づくり」政策を打ち上げたときに「(だから)間抜け」ばっかりになるんだと大いに笑い談論風発したことがある。確かに政治家にとって「言葉」は大切だし、演説ひとつを見ても、必ずしも雄弁である必要はないが、訥々とした言い回しではあっても人々の心に訴える「文学性」は欠かせない▼むかしの政界には「擬餌鉤発言」のような「名言?」を語る人がいて話題になったし、今の若い政治家たちもなかなかのものである。取り分け自民党の若手はかなりの造語能力らしい。衆院解散と選挙は近いが、このところ自民党人気は低調を極め若い人たちには厳しい。そこで生まれたのが「ABA」だそうな▼これは「Aneybody But Aso」(麻生以外なら誰でもいい)の頭文字をとったものだそうだが、首相もとんだ災難にあったようなものである。首相は100年に1度という経済不況に対処すべく補正予算などと懸命なのにどうも国民からの支持が盛り上がらない。そんなことでの「麻生嫌い」なのだろうが、これはいささか残念である▼その一方では古賀誠選対委員長が、人気者の東国原知事を訪ね衆院選へ立候補をと要請したら「自民党総裁の椅子が出馬の条件」と言ったそうである。まあ、総裁のイスも軽くなったものである。次の選挙で自民党が苦しいのは、世論調査でもわかる。最悪なら民主党が第1党になり自民が野党に転落もありうるし、これはこれで仕方がないのかもしれないがー。 (遯)