ADESC婦人、ボリビアへ=連載(4・終)=オキナワ移住地=デイサービスでふれあい=同地婦人と料理交流も

 二十八日はさらに寒く、気温十四度。朝食後すぐに、一行はコロニア沖縄農牧総合協同組合(CAICO)でのセミナーに参加した。
 一九七一年に創立したCAICOは第一、第二、第三移住地を包括し百二十三人の組合員を持つ。主要作物は、大豆、とうもろこし、米、小麦など。
 小麦の国内消費は六十万トンなのに比べ、国内生産は二十万トンで需要が大きい。近年第三移住地でサトウキビ栽培も始まった。第二移住地にあるオキミルク加工工場では、独自の製品をつくり市場でも販売している。
 大豆加工工場を見学すると、家畜飼料となるインテグラール大豆を生産していた。農機具は一〇〇%ブラジルのものを使用しているそうだ。
 その後、オキナワボリビア歴史資料館へ。一行は熱心に見入り、同地日本人移民の歴史に思いを馳せていた。参加者の加藤なおみさんは、「自分の花嫁移民の頃を思い出した」と懐かしそうに語った。
 昼食時、同協会会館で行われる「ふれあいデイサービス」へ参加した。六十五歳以上の日ボ会員家族を対象にした同サービスは、月二回行われる交流会。
 この日は、対象者四十九人に対しボランティア十五人、ADESC二十二人が活動に参加。ADESCの一行も高齢者一人一人に声をかけ、持参したおかしと手作りのお土産を手渡した。
 中には、ADESCメンバーのほうが年上という人もいたよう。高齢者からは「大変お元気ですね」と感心の声も。
 ボランティアの中田牧子さん(39、栃木)は、日系ボリビア人の中田丞さん(40)と結婚し日本から移住。現在は四人の子供を抱えるお母さんだ。娘の唯ちゃん(5)を抱き寄せ、「海のないオキナワに来てしまったの」と微笑んでいた。
 同活動には、牧子さんの義母・中田弘子(74、沖縄)さんも参加していた。「孫も一緒に楽しく活動しています」と嬉しそうだ。
 午後はオキナワ第一地域開発振興会会館に移動し、ADESCカラー「赤」のエプロン、帽子に身を包む。
 二手に分かれ、同地連合婦人会の皆さんによるおからクッキー講習とペットボトルのキャップを使ったミニ太鼓づくりが始まった。クッキーのレシピは、ブラジル農協婦人セミナーへの参加をきっかけに発案されたそう。
 甘い匂いを漂わせ焼き上がったクッキー。カフェを入れ、歓談しながら午後のひとときを楽しむ。ここでは「今日の日はさようなら」を合唱した。
 ホテルに戻ると一同大騒ぎ。部屋が掃除されていないとか、窓から雨水が侵入したとか。しかし、その後更なるアクシデントが―。
 午後六時十五分、町中が突然停電に。暗闇の中をバスで、最後の夜を過ごす予定の熱田恵美子さんの自宅に移動した。一時間後にようやく電気が戻り、やっとカラオケ夕食会が始まった。
 現地からは熱田さんのほか、〇九年度第五回農協婦人セミナー参加者の比嘉シズエさん、大城三子さん、〇七年度参加の津坂涼子さん、宮城アメリアさん、喜久山美香さんら五人も集まり、ADESCの一行と一緒に演歌を熱唱した。
 同地婦人たちからは、手作りの手さげ袋という嬉しいプレゼントがADESC一人一人に。
 ADESC側も、それぞれが作ってきた手編みの帽子、エプロン、ぬいぐるみ、木彫りの人形などプレゼントを用意していた。心のこもった贈り物に、互いに感激の表情を浮かべていた。
 内海会長は、「本当にお世話になりました。また必ずブラジルを訪れてくださいね」と感謝の気持ちを伝えた。
 最終日の朝、前夜のメンバーが見送りに来てくれた。両国の婦人たちは何度も抱き合い、再会を誓った。
 今旅行を企画した栖原マリーナさんは、「日系人は世界中どこでもがんばっていると確信した」と今回の旅を振り返る。
 空港へ向かうバスの中では、早くも「次の旅行に向け積み立てを始めたい!」という声が上がっていた。(おわり、長村裕佳子記者)

写真=(上)おからクッキーをつくる(左から)飯田正子副会長と草島加代子さん/夕食会でのプレゼントに感激する一行