「コロニアの協力に感謝」=旧神戸移住センター改修に=ブラジルから募金30万余レ=西村委員長ら来伯、謝礼

ニッケイ新聞 2009年7月8日付け

 「コロニアのみなさんの協力で募金目標を達成し、無事に開館しました」。移民が日本最後の数日間を過ごした思い出の建物、旧神戸移住センターを改修・再整備して開設された「神戸市立海外移住と文化の交流センター」へのブラジル側の募金活動に感謝するために、海外日系人会館協力委員会・西村正委員長(財団法人日伯協会理事長)とカワサキプレシジョンマシナリ社・園田誠代表取締役社長が来伯して六日に来社、冒頭のようにコロニアに感謝した。

 昨年の百周年、第一回移民船笠戸丸が出航した四月二十八日にあわせて同移住センターで「友情の灯火」採火式が行われ、商船三井の貨物船に乗せられてサントス港に届けられた。サンパウロ州政府が特別に仕立てた移民列車でサンパウロ市百年祭式典会場まで運ばれ、元伯サッカー代表のカフー選手らの聖火リレーを経て、六世の大西優太くんらによって会場に点火されたことは記憶に新しい。
 移民と縁の深いこの建物は昨年六月頃から改築工事に入り、今年六月三日に「神戸市立海外移住と文化の交流センター」として生まれ変わった。
 西村委員長らは昨年一月に来伯し、コロニアに二千万円を目標とする募金を呼びかけ、県連、文協などが取りまとめする形で、多くの日系団体や企業が寄付を寄せた。各県人会、南青協、学移連のほかマナウスの西部アマゾン日伯協会、エフィジェニオ・デ・サーレス自治会なども浄財を寄せ、ブラジルからの寄付総額は三十万七千レアルにのぼったという。
 新装なった同センターの総工費は六億七千万円で、内部には移住ミュージアム(博物館)「希望と未知への船出の広場」、地域在住の外国人の支援を行う「多文化との共生の広場」、国際芸術交流を目的とした「芸術を生かした創生の広場」が設けられた。
 寄付者・団体の名前は、開館の時点までの分は既にセンター内の壁面に刻まれている。
 移住ミュージアムには、移住者が渡航時に持参した荷物や移住先国で使用した道具類の実物が展示される。移住者が滞在していた部屋の様子が再現され、移住者の生活を追体験できるようになっている。
 三階の壁面にはコチア青年が残した落書きも保存されており、基本構想を担当した国立民族博物館の中牧弘允教授のコメントともに、同センター開設の様子は当日のNHK神戸でもニュースとして取り上げられた。
 今後の運営を担うのは同協会ほか、いずれも神戸に本拠を置く「カワサキライフコーポレーション」「関西ブラジル人コミュニティ(CBK)」「芸術と企画会議(CAP)」の四者による共同事業体となる。
 さっそく今年十月からは神戸市と同協会が主催し、ニッケイ新聞などの邦字紙が協力する形で写真展「ブラジル移住百周年を振り返る」などを企画しており、新装後も有効活用を図っていく予定。
 西村委員長は募金活動の呼びかけに協力したニッケイ新聞に対しても感謝状を贈った。