ブラジルの〃ニッポン〃を満喫=サンパウロ市=12回目の県連日本祭り=3日で17万人訪れる

ニッケイ新聞 2009年7月21日付け

 ブラジルを代表する日系イベント「第十二回日本祭(フェスティバル・ド・ジャポン)」が十七日から十九日まで三日間、サンパウロ市のイミグランテス会場で開催された。ブラジル日本都道府県人会連合会(県連、与儀昭雄会長、加藤恵久実行委員長)が主催。各県人会自慢の郷土食をはじめ、舞台では郷土芸能や太鼓、ミス・フェスティバルなど多彩なプログラム、パビリオン内では期間中、企業ブースや日本文化ワークショップなどが来場者を楽しませた。天候にも恵まれ、主催者によるとのべ十七万人が来場。会場内はどこへ行っても人で溢れかえり、ブラジル社会に改めて〃ニッポン〃を披露する場となったようだ。

 二日目正午に始まった開会式にはジルベルト・カサビ市長、大部一秋在聖総領事、飯星ワルテル連邦議員、西本エリオサンパウロ州議、羽藤ジョージサンパウロ市議ほか、日系団体代表など来賓二十人が列席した。与儀会長は挨拶の中で、「各県人会やスポンサー、ボランティアのおかげで開催できます。テーマは環境。個人個人が少しのことに注意すれば良い世界になると思う。シンボルとしてこの祭りが役立てば」と語り、開幕を宣言した。カサビ市長らの挨拶に続き、舞台上で鏡開きが行われ、千坂平通JICA聖支所長の音頭で乾杯した。
 メインステージでは歌手のジョー平田さんや、日本から来た中平マリコさんらのショー、各県の郷土芸能や太鼓などで盛り上がった。リベイロン・ピーレス健康体操グループによるYOSAKOIソーラン、皿踊りでは派手な衣装とリズム感ある音楽と踊りで観衆を圧倒し、健康体操では観客が一緒に参加する姿も見られた。
 パビリオン内の入口近くには、岩や緑の木々で作られた日本庭園。お茶会が開かれ、日本文化を体験する人や記念撮影を楽しむ人の姿もあった。
 コチア青年連絡協議会と農協婦人部連合会、弓場農場のブースが並ぶ一角は、お目当ての野菜や果物、手作りジャム、漬物等の加工品、花などを買い求める人たちで終日混雑した。中には三時間も同農場の場所を探しようやく辿り着いた人もいた。
 弓場農場はトラック一台で約四千点の食品を持参した。声を張り上げて販売していた同農場創設者弓場勇氏の孫、らおりさん(三世)は、「今日は弓場の卵油を飲んできました。これで元気に頑張れます」と笑顔。
 特設ステージでは期間中通じて太鼓や踊りなどが披露され、来場者の注目を集めていた。中でも日本からきた古武道「神刀流」の演舞では型の他、試し切りも行われ、多くの観衆が魅了された。神刀流四段の黒田雅彦(53、静岡)さんは「ブラジル人は日本人と違い、体全体で拍手を送ってくれて嬉しかった」と感想を語った。
 二日目には一時雨がぱらついたものの、その後天候が回復。最終日は急激に冷え込んだが、雨に降られることはなく、会場は終日超満員の来場者で賑わった。
 着任してから初めての日本祭りを訪れた大部総領事は、「想像もしていなかった」と盛況ぶりに驚いた様子。「日本文化、日系人がブラジル社会に溶け込み、受け入れられていることがよく分かった。日本人として嬉しく思う」と語った。
 開催期間中、忙しそうに会場内を動き回っていた加藤実行委員長は、「日系社会は今や三世、四世の時代。彼らは非日系人を連れてくるので、日本文化を伝える場になった。スタッフも優秀でスムーズに進みました」と話していた。

写真=日本祭の会場の様子