ベレン=式典にカレパ知事ら600人=アマゾン移住80周年記念=「楽でない道のり超え」=日伯議連の井上衆議も=外務大臣らから各種表彰

ニッケイ新聞 2009年9月22日付け

 【ベレン発=松田正生記者】パラー州都ベレンで十八日夕方、日本人アマゾン移住八十周年記念式典(生田勇治祭典委員長、須藤忠志実行委員長)が開催され、六百人以上が出席した。十六日のトメアスーに続くベレン式典には、日ブラジル会議員連盟を代表して井上信治衆議院議員も出席して麻生太郎議連会長のメッセージを披露。第一回トメアスー移民の大橋利雄さん(92)、山田元さん(82)や各日系団体の功労者、親日家ブラジル人など多くの人が表彰を受けた。

 会場となったコンベンションセンター「HANGAR」には、汎アマゾニア日伯協会の加盟十八団体から関係者が参集。日本からは井上議員や福岡県の海老井悦子副知事、井本邦彦県議会副議長、今村忠雄・日本海外協会会長、サンパウロ市からは県連ふるさと巡り一行約二百人をはじめ文協、援協の代表者も出席した。
 式典に先立ち、午後三時から表彰式が行われ、祭典委員会表彰(九十四人)、日伯功労賞(五人)、パラー州農業者連盟表彰(三人)、日本国外務大臣表彰(四人)の順に受賞者が表彰を受けた。北伯日本語普及センター(山瀬楢雄理事長、十七校)が八十周年を記念して実施した日本語作文コンクールの表彰式も行われた。
 午後四時半からの記念式典には、アナ・ジュリア・カレパ州知事、島内憲大使、名井良三ベレン総領事、ベレン市のドゥシオマール・コスタ市長、山田フェルナンド・パラー日系商工会議所会頭、飯星ワルテル下議ら連邦議員が来賓として出席した。
 生田祭典委員長はあいさつで、ペルーからアンデスを越えて来た「ペルー下り」の日本人、一九一五年にベレンへ来たブラジル柔術生みの親コンデ・コマ(前田光世)などの移住前史から、二九年に始まったトメアスー移民の苦闘と成功、五世が誕生する現在に至る北伯日系社会の歩みを振り返り、「先人のおかげで盛大な式典ができる」と感謝を表した。
 さらに日本移民を受け入れたパラー州と長年の日本政府の支援への感謝とともに、「これからも二つの民族の絆を強めるため、日本の文化をパラー、ブラジルに、ブラジルの文化を日本へ広めていきたい」と述べた。
 井上議員が麻生日伯議連会長の祝辞を代読。麻生会長は、日本移民と日系人が「誠実さと忍耐力で確固たる地位を築き、高い評価を得ていることを誇りに思う」と敬意を表した。トメアスーの式典に続き、島内大使から皇太子さまの祝辞が紹介された。
 席上、州政府が八十周年を記念して各分野での功労者へ記念メダルを贈呈する政令を定めたことが報告され、島内大使、山田元さん、Y・YAMADAの山田純一郎社長、山田フェルナンド副社長、生田祭典委員長、格闘家の町田リョートさんら十三人に知事から手渡された。
 最後にあいさつに立ったカレパ知事は、日本移民が「子を育て、孫までパラーに住み、地域発展に貢献している」と述べ、同州に国内三番目、約三万人の日系社会があることを誇りに思うと話した。また「日本は伝統を守りながら技術と共存する手本を世界に示している。パラー州も日本に見習い、環境に配慮した持続可能な開発を目指している」と述べ、経済面での協力関係継続にも期待を表した。
 知事は「道のりは楽ではなかったが、努力と忍耐で障害を越え、今日の地位を築いた」と日本移民・日系人をたたえ、州への貢献に「ムイント・オブリガード」と感謝の言葉を送った。
 パラー州歌を歌い、六時半過ぎに式典は終了。鏡割りに続いて祝賀アトラクションが行われ、花柳流金龍会の舞踊や筝曲演奏などが披露された。