東西南北

ニッケイ新聞 2009年9月23日付け

 22日から春に入ったブラジル。雨の多い春になるとの予報が出ているだけに、サンパウロ市の清掃夫のストが1日で終ったとの報道に胸を撫で下ろす。世界ノーカーデーでもある22日のサンパウロ市の街角には、排気ガスなどの公害を尻目に、黄色いイペーの花が咲き誇っていた。
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 23日からの国連総会出席のため米国滞在中のルーラ大統領に代わり、アレンカール副大統領が21日、8年生までの学校では週1回国歌を歌うことを義務付ける法令と、南大河州生まれのグアラニ族勇士、セペー・チアラジューのブラジル英雄伝記載を裁可。イエズス会の先住民教化村生まれのチアラジューは、小説「時と風」や詩「オ・ウルグアイ」などにも登場する人物で、教化村を建設したイエズス会宣教師らが、1750年のスペインとポルトガルの協定で強制移動させられることに抵抗。1756年に死亡するが、彼の死の3日後に起きた両国軍の攻撃では、1500人の先住民が殺されたという。
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 22日付けエスタード紙やG1サイトなどが、サンパウロ市モルンビーで16日に起きた押込み強盗の主格犯のモンタージュを掲載した。16日と19日に押込み強盗連発の同地区では、19日は3人組の犯人全員を逮捕できたが、16日は1人逮捕、3人逃亡。4歳児を縛ってタンスに閉じ込め、ガン患者の妻に暴行。バスタブ(バニェイラ)に水を張って感電死させると脅した上、主人の額に銃を当てて発砲したが、不発となり助かったという事件だ。残虐性を増す事件多発は、親不在で愛に欠けた生活環境で育ち、善悪の区別や限界を知らない人間増加という社会構造の反映と精神科医がコメントしている。犯罪者も被害者も心の病に悩む世の中・・・。