アマゾン80周年で記念表彰=山田純一郎さんら貢献者へ=ベレン=喜びの声あげる受賞者

ニッケイ新聞 2009年9月23日付け

 【ベレン発=松田正生記者】パラー州都ベレンでアマゾン移民80周年式典が18日に行われた折り、祭典委員会では役職経験者に限らず長年日系社会へ貢献してきた人物、歌手の宮沢和史さんなど日本側関係者、計94人を委員会表彰として顕彰した。
 受賞者の一人、矢野勝大さん(かつお、77、福岡)はサンタレン文協の創設発起人として尽力し、会長も務めた。
 夫人の千津江さん(75)とともに、アレンケールの第1回呼び寄せ移民として家族で渡伯。「お金はないし、マラリアになるし、たいへんでした」と千津江さんは振り返る。
 サンタレンに出てから営んだ電気店は3人の息子が経営にあたるが、「今も日に一度は店に出る」という。表彰を受け矢野さんは、「うれしい。光栄の至りです」と話した。
 記念の日本語作文コンクールは「移住に関すること」をテーマに募集され、子供から成人の4カテゴリーで最優秀賞、優秀賞が選ばれた。
 子供の部カテゴリーCの最優秀賞「汎アマゾニア日伯協会賞」を受賞したライゼ・マヤラ・デ・リマ・サライーバさん(15、トメアスー日本語学校)は、「イミグランテ」と題してトメアスーでの日本人の功績を書いた。
 日本語の勉強を始めたのは2006年。現在は能力試験4級に挑戦中というライゼさん。「とても嬉しい。感激しました」と受賞を喜ぶ。
 州知事から表彰を受けた山田純一郎さん(84、静岡)はY・YAMADA社長で、パラー日系商工会議所前会頭。息子のフェルナンドさん(副社長および商議所会頭)とともに受賞した。
 家族で1932年に渡伯した山田さん。「何もいただくと思っていないところに(表彰を)いただけて嬉しい」と感想を語り、講道館4段だった父・義雄さんとコンデ・コマとの関わり、父親が34年に始めて開けた売店のこと、戦争中のトメアスーへの強制収容などの思い出を振り返った。
 第1回トメアスー移民で、この日パラー州農業連盟から表彰を受けた大橋敏男さん(92、静岡)は、「同じようにあの頃苦労した人たちがいます。長生きしたから今回の表彰を受けることができた」と話す。
 「あの頃南拓(南米拓殖会社)にはアマゾンの経験者はいなかった。何もかも新しくやったんですよ」とトメアスー開拓の時代を振り返り、大橋さんは「今の日系人はこんな大きな所で式典ができる。州の発展のために農業をやったのは日本人。だから州政府も認めているのだと思います」と話した。