イビウナ文協=伝統守る盆踊り=自作のはっぴで1500人踊る=餅まき「待ってました!」

ニッケイ新聞 2009年9月25日付け

 聖南西地区のイビウナ文化協会(高野信喜会長)は19日夕方、会館内で37回目となる盆踊りを開催。午後6時に鳴り始めた太鼓、鐘、ふえの音色は夜遅くまで響き渡り、1500人の老若男女はやぐらの周りを一心不乱に踊った。同地に住んで45年の高野会長(63、宮崎)は、「先輩らが残してくれた伝統をこれからも続けていきたい」と会場の熱気にまけない熱さで語った。
 チャンチャンどんどん――やぐらから流れるのは、若さ溢れる十数人による生演奏。音頭とりも生唄で、力強い太鼓や鐘の響きに合わせて会場を盛り上げた。
 当日は、18地区に330家族がいるイビウナ文協の会員を中心に、ピエダーデ、ピラール・ド・スール日本語学校などの近隣からも集まった。飾り付けられた提灯が会館内を赤く照らし音頭が響きはじめると、踊り手の輪がだんだんと広がっていく。
 「相馬盆唄」「チャンチキおけさ」「炭坑節」の音頭に合わせ、各文協のはっぴ姿、浴衣姿、ハイヒールにジーパン姿、非日系人も加わっていき、いつの間にか会場は人で溢れ返った。
 午後9時頃からやぐら上で会長らのあいさつが行われ、市長代理、山村敏明・聖南西文化体育連盟会長、各聖南西文協会長ら、矢野ペドロ・ブラジル太鼓協会長、渡部一誠パウリスタ太鼓連盟会長、小川彰夫リベルダーデ地区治安協議会長らが列席した。
 あいさつ後、恒例の餅まきの餅がやぐらに運ばれていくと、待ってましたとばかりに人が集まり、歓声をあげて餅ひろいに熱中した。
 プログラムの最後にも行われ、前日に会員が搗いた190キロ、2万個の餅はあっという間に無くなった。
 開始から最後まで鉢巻にはっぴを羽織ってもくもくと踊り続ける高橋善衛門さん(76、岩手)は、8歳で同地に移住。「(文化が)継承されてこうして踊れて嬉しいです。楽しいですね」と疲れも見せず、顔をくしゃくしゃにして笑った。