コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年9月26日付け

 大勲位の中曽根元首相は「不沈空母」発言もあり、アメリカでの人気は高い。俳優から政治家になったレーガン元大統領とも入魂で「ロン・ヤス」と呼び合うほどに親しい。レーガンが日本を訪問すると、都内の日の出町にある山荘に招き日米関係は大いに深まったものである。さて―鳩山首相とオバマ大統領はどうか?▼先の選挙で圧勝したので民主党は、かなり鼻息が荒い。自民党政権の政策を根元から覆すような外科手術にも取り組んでいるし外交と安保でも厳しい。日米首脳会談では、「日米関係の深化」の大枠では一致したけれども、根幹となる在日米軍再編とインド洋の給油についての話し合いは先送りとなった。11月にオバマ大統領が訪日するので、そのときに討議をということらしい▼米軍再編で最も大きいのは普天間飛行場の移転であり、自民政権はアメリカと「沖縄県内に」で合意しているが、民主党と鳩山内閣には「県外や海外への移設」論が根強い。言うまでもなく、沖縄県民のかなりは「県外へ」だし、連立を組む社民党は基地反対と自衛隊は違憲であるし、これらの難問をどのように調整するかである▼尤も、沖縄の仲井真弘知事は、普天間基地の県外移転は困難の見方を述べているし、先行きがどうなるかはわからない。勿論、アメリカは「日米合意」に基づいてだし、新任の駐沖縄米総領事も「移転先は沖縄県内」と主張している。鳩山首相はNYで得意の英語で演説し拍手喝采だったそうだが、「友愛」も結構ながら国の原則を外れないような外交と安保論議や政策に是非とも徹して欲しい。(遯)