二世、三世に日本の歌を=障害こえて歌う比嘉さん=18日に第2回コンサート

ニッケイ新聞 2009年10月6日付け

 沖縄県系二世の歌手、比嘉テレーザ美由貴さん(50)が18日午後2時から、リベルダーデの沖縄県人会館(トマス・デ・リマ街72)で2回目となる「みんなの童謡・日本の歌コンサート」を開く。生まれつき目に障害を抱えながら音楽活動を続ける比嘉さん。同コンサート実行委員会(天願貞雄委員長)により先月30日に開かれた会見で、「二世や三世にも日本の歌を知ってもらいたい」と抱負を語った。

 最初のコンサートは2007年、同県人会ビラ・プルデンテ支部で開催、その盛況から同年の沖縄青年隊移民50周年記念祭典でも歌を披露した。「比嘉さんの歌声をもう一度聞きたい」という声が上がり、第2回コンサートが企画された。
 活動的な比嘉さんだが、59年ジュキア市で誕生、生まれながらにして白内障という目の障害を背負う。2度に渡る手術により右目は30%の視界を得たが、左目は全く見えない。
 そんな障害にも屈せず明るく元気な子供だった比嘉さんは、目の不自由さから学校への登校を断られても、姉妹や従兄弟の助けを得て独学で勉強を続けた。
 音楽の道に入ったきっかけは、ベートーベンを例に「目が悪いと、耳が発達する」と医者から勧められたこと。音楽が好きでよく童謡を歌い聞かせてくれた母・米子さんの影響から、10歳の時、小野寺七郎さんのもとで日本の童謡・唱歌とピアノ、エレクトーンを習い始めた。
 日本語が分からなければ日本語の歌を歌えないと思い、日本語学校にも通い始めた。77年、18歳にして国家試験「オルデン・ドス・ムジコス」に合格し、歌手の資格を取得。その後、自身で「あゆみ音楽教室」を開設、現在は同教室のほか生長の家コーラスも指導している。
 今回のコンサートでは、キーボードを弾きながら童謡・唱歌34曲を披露する。選曲では、米子さんとの思い出の曲「風の歌」や「南国の花」、「てぃんさぐの花」など沖縄民謡のほか、サンバやロシア民謡、イタリア民謡なども盛り込まれた。
 最後は、特別に比嘉さん作曲のピアノ曲「海の祈り」を演奏する。コンサートの中で、斉藤悟さんによる琉舞も披露される。
 「二世や三世にも日本の歌を知ってもらいたい」と歌い続ける比嘉さん。「今回はキーボードを使って、賑やかなコンサートにしたい」と待ち遠しい様子だ。
 コンサートは入場無料。問い合わせは、同県人会(電話=11・3106・8823)まで。