「文法を見せるのも大切」=新宿日語校の江副校長=経験交え日語セで講演

ニッケイ新聞 2009年10月7日付け

 新宿日本語学校(SNG)の江副隆秀校長が3日午後、「最近の日本語教育事情について―可視化した文法が聾(ろう)教育でも役に立つ―」をテーマにブラジル日本語センター(谷広海理事長)で講演した。日本語教師ら約55人がメモを取りながら、熱心に聞き入った。
 新宿日本語学校は、現在30カ国以上から約520人の生徒を受け入れる。江副校長は同校での例や聾学校で教育を広めた経験をもとに「文法も見せることが大切」と強調し、独自の教材を使ってその教授法を披露した。
 江副式教授法では、「日本語の助詞は2列」と教える。江副校長は33の助詞の組み合わせを考え、1089の組み合わせのうち、約480組が成り立つと発見。
 例えば、「へ」と「は」という助詞は同時に使うことが可能だが、「学校へは行かない○」、「学校はへ行かない×」というように順序によっては成立しない。各助詞の持つ意味を伝えながら、その組み合わせを示すことで、子供も混乱せずに助詞を習得できると説明した。
 会場の教師らからは、授業で質問しづらい点に関する質問が多く飛び出した。江副校長は、一つ一つの質問に問題の解決策を提案、教師たちの悩みに応えた。教師たちからは「先生の教え方なら生徒も納得すると思います」など感嘆の声が聞こえた。
 江副校長のユーモア溢れる講演は、会場を引きつけ、始終笑い声が絶えなかった。最後は、会場から大きな拍手が送られた。
 同センターサンパウロモデル校で教師を務め、現在は自身の教室を開き江副教授法を取り入れているという沖野日出子さんは「江副教授法は子供たちの興味を引き、受けが良いです」とその効果を実感する。
 アルジャー日本語学校で教える清原みどりさんは、「一番教えるのが難しい助詞の教授法が役に立ちます」と感想を話していた。