4カ国語でお話コンクール=松柏・大志万=日常をテーマに53人が発表=江副さん「日本でもやりたい」

ニッケイ新聞 2009年10月9日付け

 松柏学園・大志万学院(川村真由実校長)は3日、同学院で「第4回お話コンクール」を開催した。予選で選ばれた53人の生徒達が日本語、スペイン語、英語、ポルトガル語で発表し、父兄も含め300人近くの人が一年に一度の発表に耳を傾けていた。
 審査員は日本から来た新宿日本語学校の江副隆秀校長や玉川学園の高島健造教育部長、リオデジャネイロ連邦大学の二宮ソニア助教授や近隣の学校の教師らが務めた。
 まずは日本語の部が行われ、年齢で分けられたカテゴリー別に、17人が発表を行った。テーマは、作文の授業で作成した文章の中から選んだもの。大志万学院の14人が次々と発表をした。
 「グルグルと鮪が泳いでいた―」、身振り手振り交えて流暢な日本語でスピーチをしたのは、「日本へ旅行して」を発表した山室友梨恵ステッフィーさん(9)。旅行中に行った水族館について話したもの。さらに、NHKでマグロが少なくなっている現況を知り、マグロの刺身が大好きな友梨恵さんは、「刺身をたくさん食べられなくなるのが残念」とも付け加えた。
 「海」を発表した榊原ささやなおみさん(7)は海が好きで、海岸で貝殻を拾ったことを話した。
 松柏学園からは3人が出場。「人生の宝」を発表した鈴川哲実マルキさん(16)は、同学園・同学院の日本語の先生について、「とても厳しく、怖く、当初はまっすぐ顔を見られなかった。今でも怖いです」と語るも、「良い教えは忘れずに心に刻み、即実行に移すことが大切」と自分に語りかけるように話した。
 続いてスペイン語の部で6人、英語の部では16人、ポルトガル語の部では14人が発表した。最後に結果が発表され、各カテゴリー別の優勝者は賞状と記念品を受け取り、大歓声と拍手で大会は締め括られた。
 発表を聞いていた高島教育部長は、「教室で子供と会話をしていても、彼らは単語でしか答えられない」と日本の外国語教育の現状を述べ、「言語はそもそも伝えるツール。(発表を聞いて)母国語を引きずっている分があるが、内容が良かった」と大会の感想を述べた。
 また、同学園設立者の川村真倫子さんと長年親交がある江副校長は「とにかく素晴らしかった。小学生から中学生が4カ国語でスピーチする学校は他にない。こういった教育方法を是非日本に持ち帰りたい」と興奮した様子で答えた。
 9、10歳の部で初優勝した山室さんは、家ではほとんど日本語で話しているという。「日本で過ごした日々が本当に楽しかったので、このテーマにした。緊張したけど、家でたくさん練習したので、優勝できて嬉しい」と喜んだ。母親の山室香子さん(千葉県出身)は「せっかく日本語が話せるので、読み、書きも習って欲しかった」と入学させた動機を語り、「家で練習しているよりうまく出来たと思う」と話していた。
 川村校長は「昨年より上手な生徒が多いです。今後、他の学校で外国語を学ぶ子供達の挑戦も受け、大会を発展させたい」と締め括った。