クリチーバ=第27回春祭りに5万人=浴衣姿もちらほら=芸能祭も同時併催

ニッケイ新聞 2009年10月16日付け

 クリチーバ日伯文化援護協会(山脇ジョルジ会長)は、「第19回春祭り」を10~12日に同市内バリグイ公園内のパビリオンで開催、約5万人が会場に足を運び春の訪れを楽しんだ。10日午前には、佐藤宗一在クリチーバ総領事も出席した開会式が開かれ、11日は「第27回パラナ芸能祭」=後日詳報=も併催、パラナ州地方からも多くの来場者が訪れ賑わいを見せた。コスプレ姿の若者や浴衣を着こなした非日系人の姿も多く見られた。

 会場には二つの舞台が設置され、メインステージでは11日に芸能祭や歌手平田ジョーさんのショー、ジャパンPOPステージでは若者たちによるマツリダンス、コスプレ大会などが繰り広げられ、各ステージで盛り上がりを見せた。
 会場の食べ物ブースも大盛況。文協婦人部は、寒天、焼き饅頭などを販売。YOSAKOIソーラングループ「若葉」が恒例の餅つきを1日5回披露、できたての餅を提供し来場者を喜ばせた。
 仏立宗のクリチーバ如蓮寺は、独自に考え出したお菓子「バナナ春巻き」を販売。同寺の大田竹則さんは、「非日系人にも人気です」と笑顔を見せていた。
 在クリチーバ総領事館と日伯留学生OB会による折り紙や生け花などのワークショップも行われた。
 漫画家グループthe okay(デ・オカイ)は、5分ほどで漫画風の似顔絵を描き、列ができるほどの人気を博した。
 同大会実行委員長の大嶋裕一さんは、「昔は日本食もやきそばだけだったが、今は様々な日本食が販売されるようになった。食事を楽しみに訪れる非日系人も多い」とその盛況を喜んだ。
 うどんを食べに来たという田村茂さん(81、山口)は「皆が盆踊りを踊るのを見るのは楽しい」とくつろいだ表情をみせていた。

老若男女に楽しい祭りを=若者による啓蒙活動も

 アニメやバンドのコスプレで来場する若者が多く目に付くように、日系のイベントは、インターネットを通じ、コスプレ仲間同士が集まる場所にもなっているようだ。
 「外では変な目で見られる」。そんな悩みを持つコスプレ好きの交流の場ともなっている。
 しかし、その若者達の集まりは、時には非難の対象ともなってきたようだ。ゴミのポイ捨て、落書き、酒を飲んで騒ぐ―。そんな心無い一部の行動に眉をひそめる日系高齢者の姿もあったという。
 「来なくなった人もいるし、若者による盗みがあったと出店業者からの報告もあった」と大嶋実行委員長は振り返る。
 こういった状況を受けて、若者の漫画家グループthe okayが、在クリチーバ総領事館などの後援を受け作成した「HRJK(原宿)」というイラスト入りのパンフレットを配布していた。
 「コスプレをして問題を起こせば、自身の好きなアニメ、バンドのイメージを傷つけてしまう」「コスプレをする際は、ファンとしての意識をしっかりと持たなければ」と注意を促す。
 くわえて、「高齢者に敬意を払わなければならない」といったものも内容に盛り込んでいる。
 イラストを描いたギリェルミ・マッチさん(22)は、「若い人にもマナーを守って日本文化を楽しんで欲しい」とその思いを語る。
 こういった若者の自発的な活動に加えて、実行委員会では、ステージを二つ用意。若者たちによる祭りダンスなどの発表と、太鼓や舞踊など伝統文化の発表の場を分けるようになったという。
 27回目を数える春祭り。時代に応じて、来場者の関心や目的も変わってくるなか、柔軟性を持った仕組みづくりに取り組む関係者らのイベントに対する熱い思いを感じた。     (裕)