第31回念腹忌全伯俳句大会=日本や全伯から90人=亡き師偲び弟子ら詠む=手土産は恋の色てふ苺餅

ニッケイ新聞 2009年10月29日付け

 ブラジルに俳句を広めた故佐藤念腹夫妻をしのぶ全伯俳句大会「第31回念腹忌・第21回潔子忌全伯大会」(栢野桂山大会委員長、サンパウロ木蔭句会主催、朝蔭発行所後援)が18日、サンパウロ市の老ク連センターで開催された。日本から俳誌「葛」の関木瓜編集長、青木徘徊さんを迎え、国内はブラジリア、リオデジャネイロ、マット・グロッソ、汎ソロ、サンパウロ州内各地から俳句を愛する念腹氏の弟子、孫弟子ら約90人が集まった。
 直弟子の中で最年少という樋口玄海児さんが司会を務め、念腹夫妻はじめ先没句友の霊に1分間の黙祷を捧げた後、栢野大会委員長が開会の辞、念腹氏の末弟である佐藤牛童子・朝蔭主宰のあいさつが行われた。
 席題は「念腹忌」、「潔子忌」と当季雑詠。それぞれ頭を捻りあって投句、選句が行われ、昼食を挟んで緊張した空気がほぐれたところで披講された。
 兼題特選句と席題特選句入選者には「朝蔭雑詠選集」や句集「イペの花」(目黒はるえ著)、黄菊鉢、また参加者全員に秋枝つね子さんから手製のハガキが贈られて、午後2時すぎ、和気藹々のうちに大会が終了。一年後の再会を約束して解散となった。
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 【代表選者特選】1位=村上士郎、2位=小林エリザ、3位=本広為子
 【席題特選句 関木瓜選】
◎日曜市立ちたる園のジャカランダ(村上士郎)
◎念腹忌二つの祖国大切に(西川あけみ)
◎草若葉馬の毛色も艶まして(立石松男)
◎紙風船なつかし富山の薬売り(野村いさを)
◎ことことと落し蓋鳴る暮の春(富重久子)
【兼題特選句 牛童子選】
◎平和への願ひの風船空を埋め(西谷律子)
◎木藷植えて生涯土に学び来し(中川千江子)
◎連作を嫌ふ木藷の畑替へて(堀石凡生)
◎タンガラーの群舞を覗く森の精(湯田南山子)
◎紙風船なつかし富士の薬売り(野村いさを)
◎カクテルに酔ひし如舞ふタンガラー(寺内ユキエ)
◎風船の門は子供のレストラン(寺尾芳子)
◎モニカ風船の紐握りしめ眠る孫(百合由美子)
◎コロニオンに仁王立ちして野火迫る(小原加代)
◎眠る土起こす野焼の火が走る(浅海喜世子)
【席題特選句 牛童子選】
◎あたたかき素十念腹の師弟愛(永田美知子)
◎酒を愛し旅を愛せし念腹忌(遠藤甲山)
◎万両や日の丸の彩今日の句座(馬場照子)
◎手土産は恋の色てふ苺餅(三原芥)
◎もてなしはカイピリンニャで春の客(浜田すみえ)
◎養魚池先に棲みつく雨蛙(武藤栄)