県連ふるさと巡り=アマゾン80周年式典へ=過去最多の211人参加=連載《3》=「世代交代の節目に」=ベレンでアマゾニア祭り

ニッケイ新聞 2009年10月31日付け

 マンゴー並木が延々と続くアマゾン河口の港町ベレン。19世紀中頃から20世紀前半にかけてゴム積出港として栄え、今は人口150万人を有する東部アマゾンの中心都市だ。
 1616年にマラニョン州サンルイスから移ったポルトガル人により開かれたこの町には、今も外部からの侵略に備えた要塞の跡が残る。
 日本人が同地に残した足跡はトメアスーより早く、1900年代初頭にペルーからアンデスを越えて入った「ペルー下り」までさかのぼる。15年にはグレーシー柔術の生みの親コンデ・コマ(前田光世)が移っている。現在の日系人口は約1万2千人でサンパウロ、クリチーバに次ぐ国内3番目の集住地だ。
 トメアスー式典終了後、16日夜にベレンへ戻ったふるさと巡り一行は翌朝から市内観光へ。アマゾンの動植物を見ることができる自然公園「エミリオ・ゲルジ博物館」を散策した後、港の近くにあるカテドラル、要塞の跡に石器時代からの出土品を展示した「Museu do Forte do Presepio」などを見学した。
 続いて市中心部にあるナザレ教会(Igreja Basilica de Nazare)を訪問。毎年10月第2週に行われるカトリック行事「ナザレ祭(Cirio de Nazare)」の時には、カテドラルから6キロ離れたこの教会までナザレ像を運ぶパレードが行われる。アパレシーダに次ぐ同祭には各地から約200万人が訪れるという。
 午後5時からベレン式典会場となるコンベンションセンター「HANGAR」で祭典委員会による来賓・慶祝団の歓迎会が開かれた。
 日伯議員連盟を代表して来伯した井上信治衆議、福岡県慶祝団、島内憲大使や名井良三ベレン総領事などが出席し、一行もバスで会場へ。
 今年3回目となる日本文化イベント「アマゾニア祭り」でにぎわうセンターへ入ると、着物姿の女性たちが迎える。
 最初に歓迎委員長の山本陽三さん(74、香川)があいさつ。「遠方からたくさん来ていただき感激している」と一行を歓迎し、「戦前移住者は六世、戦後でも三世が生まれている。80周年を次世代にバトンタッチする意味も含めて祝っていきたい」と述べた。
 続いてサンパウロの慶祝団を代表して、ふるさと巡りの山田康夫団長が一行を紹介。生田勇治ベレン祭典委員長は先駆者への感謝とともに、「100周年、200周年に向けて日本文化のいい所をブラジル人に、ブラジル文化のいい所を日本人へアピールしていきたい」と決意を表した。
 この日ベレンに到着したという井上衆議は「開拓者の魂が子孫に受け継がれ、すばらしいアマゾン日系社会になっていると思う。皆さんの活躍を目に焼きつけて帰国したい」と述べ、80周年に祝意を表した。
 今村忠雄・日本海外協会会長の発声で乾杯。食事の間には、マラジョー島の民族舞踊「カリンボー」のグループが出演し、華やかな踊りで歓迎会を盛り上げた。
 1954年に19歳でトメアスー入植、現在パラー日系商工会議所副会頭を務める山本委員長。「たくさんの人に盛り上げてもらえ、心から嬉しい」と笑顔を見せながら、「世代交代が進み、80周年は節目だと思います。私も最後のお手伝いですよ」と語った。(続く、松田正生記者)

写真=エミリオ・ゲルジ博物館でふるさと巡り参加者たち