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聖南西=スポーツ教室で元気に=6校から集まり楽しく

ニッケイ新聞 2009年12月1日付け

 聖南西教育研究会(岡田エリーナ会長)が主催して11月21日、同地区の日本語学校のスポーツが好きな13~17歳の生徒が参加する青空スポーツ教室がピラール・ド・スール文化体育協会の運動場で開催された。これは普段やらないような運動を楽しみ、またスポーツを通して他校の生徒と交流を図る目的で、年に1回定例会や役員会・勉強会で地区の教師が集まる日を活かして行われており、12月に行われる林間学校とともに生徒がとても楽しみにしている地区行事の一つ。
 ピラール・ド・スール、コロニア・ピニャール、イビウーナ、ピエダーデ、レジストロ、サンミゲル・アルカンジョの六つの学校から過去最高の52人の生徒が集まった。
 この青空スポーツ教室はピラール・ド・スール日本語学校で体育を指導している米村麗華先生(21)と同校の教師により進められた。
 午前10時前に会館に集合して出席をとり、教師から「ここにはスポーツが上手な子、苦手な子、日本語が上手な子、上手ではない子、町の子、田舎の子、男子、女子、色んな生徒が集まっているが、日本語学校で勉強していてスポーツが好きというのは全員に共通していることです。それらの違いを受け入れて新しい友達を作ってください」との挨拶があり、この日の約束などが話された。
 多くの生徒はこれまでこのスポーツ教室や林間学校に参加した経験があり、緊張した様子もなくリラックスした雰囲気で教師の話を聞いていた。
 「日本語学校の行事なので進行は日本語で行う」という地区の方針通り、時折ポ語を交えながらも説明などはほとんどが日本語であったが、多くの生徒は理解しており、わからない生徒も聞き取ろうと頑張ったり他の生徒にたずねたりと、ただのスポーツの場ではなく生の日本語に触れ合う場となり日本語学校の行事としての意義が感じられた。
 終日曇り空で運動をするには最適な天気で、最後まで生徒達は疲れた様子を見せず元気に取り組んでいた。
 初めの1時間は『ペア鬼ごっこ』などのゲームで体と心をほぐした。次に『ペットボトルホッケー』に移り、4人一組が13チーム、2リーグに分かれてのリーグ戦を行った。
 生徒達は笑顔や悔しそうな顔などプレーごとに様々な表情を見せ、競技中終始コート内外からプレーに対する反応が見られ、一生懸命取り組みながらも楽しんでいる様子が伝わってきた。
 午後は今回のメイン競技である『キックベース』を行った。初めて行う生徒も多く、最初はやり方がよくわからず戸惑う生徒も見られたが、知っている生徒に教えてもらいながら試合を通してルールを理解していった。2、3戦目になるとすっかり熱中し、応援する声がどのコートからも聞こえてきた。
 そして決勝戦は逆転の連続で、同点で最終回の攻防を迎えるという白熱した試合を繰り広げた。この展開には対戦チームだけでなく、終了したチームも集まり興奮した面持ちで見入っていた。
 最後は後攻のチームがサヨナラ勝ちを決めたが、攻防時にはこの日参加した生徒全員が一つになった雰囲気が生まれていた。
 最後に記念撮影。教師から楽しかったか問われると皆手を挙げ、「今までで一番楽しかった」「来年も参加したい」という声が聞かれ、充実した1日を過ごしたようであった。
 教師からは「初めから皆とてもいい雰囲気で、注意することが全くなかった。これまでのスポーツ教室や林間学校への参加経験が生徒の意識や気持ちにしっかりと根付いているようだ」と嬉しい感想が聞かれた。 
 午後4時終了後のカフェの時には、色々な学校の生徒が楽しそうに話している姿が見られた。呼んでもなかなか帰ろうとしない生徒達を見て、片道3時間かかるレジストロ日本語学校から来た福沢一興先生は「しょうがねえなあ」と言いつつも嬉しそうな笑顔を浮かべていた。

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