コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年12月15日付け

 元首相・田中角栄氏の遺伝子をそっくり受け継いだとされる小沢一郎氏の政治手法は、あの「角さん」とよく似ている。西松建設からの献金騒動で検察陣が元秘書を聴取して明らかになったけれども、東北の建設事業に対する小沢氏の影響力は絶大であり、業界からの献金もー受注するための思惑が含まれていたらしい。選挙に強いのも角さんの仕込みがあったからだし、この戦い方で民主党が圧勝した▼いわゆる「族議員」であり、政治資金についても、不透明なところがいっぱいある。これに対する国民の非難が強く、民主党の代表は辞職し鳩山由紀夫氏になったが、小沢氏の実力は途方もなく広がっている。党のナンバー2の幹事長になり党内人事や陳情の受け付けなどを支配しており、さながら飛ぶ鳥を落す勢いーなのである▼中国を訪問し、胡錦濤主席と会談し、政府首脳らとの接触を深めたのは「日中友好」のためにも大いに結構なことと喜びたい。さてーと、ちょっと首を傾げたくなるのは、小沢氏と同行する人々が600人超にもなるという不思議さである。日本の新聞報道だと、民主党の国会議員が140名、460人超が後援者たちだそうな。あの田中角栄首相が日中国交回復のときでも、こんなことはなかった▼尤も、クリントン前米大統領が訪中したときには、財界の有力者らが3機かのチャーター機で訪中し懸案となっていた経済事案を纏めたの話もあるから、小沢氏の場合は、驚くこともないか。でもー米大統領と党の幹事長の違いもあるし、やはり大袈裟だな。と、遯生は思うのだがー。 (遯)