■ひとマチ点描■初めての感謝状

ニッケイ新聞 2010年1月16日付け

 「こんなのもらったの初めてです」。日本語教師、遠藤健吉さん(79、福島)=写真=は感激した面持ちで、母校から贈られた感謝状を見せる。
 遠藤さんは、昨年4月に本紙が発行した百周年写真集『百年目の肖像~邦字紙が追った2008年~』を、母校である福島県伊達郡桑折町立睦合小学校に、先輩の佐藤武さんと同窓生の菅野次郎さんに託して贈呈していた。それに対し、菊池淳校長名で筒入りの立派な感謝状が昨年11月に届いた。
 「もしかしてデカセギ子弟がいないとも限らない。それに百年たった日系社会のことを胸はって紹介できる写真集だから、送ったんですよ。でも、まさか感謝状をもらえるとは」と驚く。
 書面には「本校教育のために役立てることができる貴重な資料であります」とあり、学校要覧も同封されていた。
 しげしげとそれを眺めた遠藤さんは、「夢みたい…。僕らの時の一クラスが今じゃ全校生徒ですよ」とぼそり。在学中の1945年頃は一クラス60~70人が当たり前だったのに対し、現在の全校生徒数は79人。時は移り、町も変わる。(深)