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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月25日付け

 「最近の紙面、すごいね」という読者の声をよく聞く。ルビを始めたことでも、いつかのように印刷が鏡映しになっているわけでもない。コロニアで起こっている醜聞の数々のことだ。神奈川文化援護協会の横領疑惑、県連日本祭の元実行委員長によるスポンサー仲介料請求、剣道連盟の内部紛糾―。溜まりに溜まった膿が噴出しているようだ▼百周年における内外メディアや各方面からの〃誉め殺し〃のせいで、元々あったものが見え難くなっていただけかも知れない。これらが氷山の一角かと思うと空恐ろしい。その発端といってもいいのが長崎県人会だろう▼明るみに出たのは昨年3月の総会。元会計理事が公金を使い込んだ。1年の調査の結果、横領額は3万3千レアルほどだとか。社会的信用を捨てるほどの額でもあるまいに現在行方不明。当時の会長がそれを結果的に許したことも責任重大だ。道義的責任は免れるものではない▼総会で発表された調査期間の3カ月は大幅に過ぎたが、すでに裁判書類は揃い、近日中に両人を提訴する方向だ。火中の栗を拾う形で新会長となった川添博氏は就任あいさつで、早期解決を誓った。副会長には県連の弁論大会を企画、審査委員長を務める杉本俊和氏。この問題の徹底追及を続けてきた2人だ▼他役員らの思いも強い。運営費として、2万レアル以上を捻出している。会館は賃貸することになったが、経費を大幅削減し、小さな事務所での再スタート。危惧されていた県の助成金も満額下りることに。母県や会員への責任を果たすとともに、様々な問題を抱えるコロニアの模範となるような再起を期待したい。(剛)

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