援協総合診療所=ドトール南の『薬講座』=正しい知識で健康を!=(14・終)

ニッケイ新聞 2010年4月8日付け

鎮痛剤と解熱剤ジピローナ(Dipirona)とノバルジーナ(Novalgina)

 ジピローナとノバルジーナは古くから広く使用されています。そしてパラセタモールとライバルでもあります。
 しかし、アメリカやヨーロッパなどでは禁止され、厳しい管理下で使用されています。
 ブラジルでは造血機能に問題がある方、蕁麻疹や喘息の方に併用禁止が表示され使用禁止のトップになっています。他の薬品及び鎮痛剤に敏感な人たちはアナフィラキシーショックのような激しい作用を引きおこすリスクの大きなグループに指定されています。

ジピローナと他の薬物と同時服用した際の相互作用

1)抗不整脈ジゴキシン(Digoxina)とアスピリンの同時服用はジゴキシンの中毒率のリスクが増加します。吐き気や不整脈のような症候群が出現します。
2)抗生物質(Levofloxacino)とノバルジーナの同時服用は中枢神経に刺激のリスクを増加させ、痙攣まで引き起こす重大な危険を生じます。
3)抗凝固薬とジピローナを調合使用すると、他の抗炎症剤と同じ相互作用症候群を引き起こします。ビラン性胃炎によって胃出血のリスクが増加する可能性が生じます。
4)抗うつ剤シタロパン(Citalopran)フロキシン(Fluoxetina)などの約9グループもやはり他のAIN‘sと同じく相互作用は胃からの出血です。
5)リチウム(Litio)とジピローナの同時作用はリチウムの血液中の濃度が増加します。その結果として、衰弱、喉の乾き、震えや精神混乱のような症候が出現します。それでリチウムを服用している方は鎮痛剤や解熱剤を選択する際は注意してください。
6)低血圧剤
a)ブロークベータ(Betabloqueador)は約26タイプの薬品で売られています。その中で一番よく知られているのはアテノール(Atenol)とプロパノロール(Propranolol)です。この薬とジピローナの併用は作用が少し減少します。
b)エーカ(ECA)、アンジオテンシン(Angiotensina)のグループもやはり20タイプの薬が市販され、一番よく使用されているのがカプトプリ(Captopril-Capoten)で、ジピローナと共同使用は血圧降下の効能が減少します。
c)BCC(Bloqueador de Canal de Calcio)は約18種類の市販薬があり、ジピローナと共同作用は軽度の胃腸の出血のリスクを増加させます。
7)抗癌剤ナトテキサート(Metotrexato)とジピローナの服用はこの薬物中毒力が増加し、白血球減少症、血小板減少症、貧血症、腎中毒や胃潰瘍などの症状がでます。
8)利尿剤
a)アミロリーダ(Amilorida)、シピロノラキトーナ(Espirono-lactona)などの利尿剤とジピローナの併用は腎中毒をあらわし利尿力を減少作用させます。
b)コロロタリドン(Clorotalidona-Higroton)、フロゼミダ(Furosemida)などをジピローナと同時使用は利尿の効果を減少します。
9)血糖低下薬剤クロルパラミーダ(Clorpramida-Diabinese)ギリメピリダ(Glimepirida-Amaryl)などとジピローナの併用使用はこの薬の低血糖のリスクが増加します。
     ◎
 最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
 確かに長々と詳し過ぎたことも確かです。しかしながらテーマがあまりにも複雑で、あまりにも重要でしたので、あえて詳細に記しました。
 何しろ人の病気、人命にかかわったことを述べなければならない責任を、医師として重く感じています。そして、誰かがこの医薬品の問題について書く必要があると以前から思っていました。それは私たちがいつも病人と触れ合い、治療と薬の間に入っているからです。
 この説明は、一体誰が必要としているでしょうか。それは一般の人たちであります。誰でも歳をとれば病気も出てきます。どうせなら病気と仲良くつきあうことです。反抗せず、怒らず薬をいただきますという心を持つことは確かに充分な効果を得ます。
 最後にこの「薬の知識」を作成するにあたり、サンパウロ日伯援護協会の鍬野いずみ、秋山幸男両職員に大変協力していただき感謝申し上げます。(おわり)