仲間とたくましく成長=伯日交流協会の10人=1年の研修成果を報告


日系社会ニュース

ニッケイ新聞 2010年4月13日付け

 ブラジル日本交流協会(二宮正人理事長)は、3月13、14両日にブラジル日本語センターで帰国報告会を開催し、09年度研修生10人が1年間の研修の成果を発表した。協会OBらも出席し、約40人が集まった。
 研修生たちは、ブラジルを知る切り口として独自のテーマを定め、ブラジル社会の様々な側面を観察しながら1年を過ごしてきた。
 日系三世で同研修制度に参加し二宮弁護士事務所で研修した古賀アンドレアさん(22)は、自分探しを目的に「ブラジルに住む日系人の家庭」を最終テーマにした。
 インタビューを通し自身の家庭と他の日系家庭を比較、「両親の生い立ち、教育の仕方が子供のアイデンティティーにも大きく影響している」と実感した様子。
 自然と文化の情報誌「ブンバ!」で研修した荒木奈々さんは、ブラジルのコスプレ文化に興味を持ったそう。その文化の広まりに驚きながらも、「親が子供の趣味を受け入れる雰囲気がある。日本とは違う」と家族のあり方に相違点を発見したようだ。
 ニッケイ新聞で記者として研修した金剛仙太郎さん(33、埼玉)は、取材の中で日系社会を深く観察。日系スポーツの普及などを説明しながら、「日本文化の浸透には日々感激した。一世が減少しても、変わらずに伝承されていって欲しい」と願いを込めた。
 西尾江里香さん(24、北海道)は、他の研修生の報告を聞き「経験を共有できるのがこの研修制度の良いところ。仲間と一緒に苦労や不安を乗り越えてたくましくなれた」と振り返り、「1年間幸せだった」と笑顔を見せた。
 今年で3人目の研修生を受け入れたカシアス・ド・スール日伯文化協会からはジュサーラ・リマ役員が出席し、「日本人は強くて美しい。日本人の研修生を受入れ、文協日本語学校にとって本当に良い経験になった」と涙ながらに感謝を伝えた。
 神部保理事は、「今後、さらに受入れ先と協会のつながりを深めたい。研修生の熱い思いを伝えていきたい」と力を込める。
 二宮理事長は「この経験をバネに、各自の人生で躍進してほしい」と研修生を見守り、「次の研修生の育成にも協力してほしい」と話していた。