コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年4月15日付け

 「世界七不思議」「世 界三大美女」などの言葉に惹かれる。諸説ある「南米三大美人産出国」にも想像を逞しくさせたが、近年は「ブラジル三大美人産出州」が気になる。調査の結果、意外にもゴイアス州がその一角を占めるらしい―。それはさておき、「近い将来見られなくなる三大世界遺産」を聞いたことがある。価値が落ちるという意味も含め、一つ目はインドのタージマハール▼ムガール帝国の皇帝シャージャハーンが愛妃のために22年かけ建築した白亜の大理石の霊廟だ。川の対岸に黒い大理石で自身の霊廟を建設する予定もあったが、息子の謀反でならなかった。実現したら見事だったろうが、近くにできた工場の粉塵で灰色に染まりそうだとか。皇帝の怨念が4世紀後に―というオチか▼ガリレオ・ガリレイが落下の実験をしたといわれるイタリア・ピサの斜塔もその一つだが、90年代に約10年かけて改修工事が行われ「300年は大丈夫」というから、これは噂に過ぎない。最後は、観光客による遺跡の損傷が大きいことからペルーの観光省が入場制限、ともっともらしい情報のついたペルーの空中都市マチュピチュ▼1月の集中豪雨で閉鎖された(今月1日に再開)ニュースは記憶に新しい。現在、07年に「新・世界七不思議」の一つに選ばれたリオのコルコバードの丘が完全閉鎖。2月からの化粧直しも中止された。しかし、丘がある国立公園内の土砂崩れの数300という多さも不思議だ▼コロニアにも不思議は多い。まずは「文協三つの謎」といきたいが、邦字紙の存在もその一つだとか。やぶ蛇とならないよう次の機会に譲ろう。(剛)