非日系のルーベンスさん快挙=カンピーナス=日本語能力1級に1発合格!=坂野校長「35年の教師生活で初」

ニッケイ新聞 2010年4月17日付け

 35年の日本語教師生活でこんなこと初めて――。非日系人で日本滞在経験もないルーベンス・ミランダさん(20)が3月、日本語能力検定試験1級を1発合格するという快挙を成し遂げた。カンピーナス日伯文化協会日本語学校の坂野恵美子校長も、冒頭のように驚きを隠さない。「全然期待してなかったんです。嬉しかった」と流暢に話すルーベンスさんは、大の日本好き。合格の秘訣と、ルーベンスさんの素顔に迫った。

 「先生に命名されてからは皆から勇亮って呼ばれています」と笑顔で話し始めたルーベンスさん。最近、日本の高校生レベルの源氏物語の原文にも手をつけ始めたという本格的な日本フリークだが、日系人との縁戚関係はない。
 日本語歴10年。「母親にガルボン・ブエノで漫画を買ってもらってから、日本の文化が好きになった。今は縄文時代の歴史にはまってる」と話し、文化、歴史、文学と興味は収まる所を知らないが、本業は、サンパウロ大学国際関係学部を目指す予備校生。
 「みんなに変ってるって言われるけど、社会学科は日本語で勉強してる。日本語だと楽しくてどんどんできちゃう」と無邪気な笑顔を見せる。
 ドイツ語とポルトガル語教師という母の影響を受けてか、言語に対する興味は高く、「インターネットで調べながらアイヌ語も勉強している」だけでなく、中国語も勉強し始めて5年。「中国語を始めてからは漢字を覚えるのが簡単になった」
 秘訣は他にもある。インターネット電話やチャット、文通を通して日本の友達と会話し、「やっぱり人や文化と接触すること。両方勉強になるし、楽しいから意欲が沸く」。
 そんなルーベンスさんの夢は、「外交官になること」。目下、大学に入り「日本へ留学したい」と初訪日の日を夢みている。ルーベンスさんを指導する坂野校長と夫の正明さんは、「(日本語は)教えることありませんね」と笑いながら、「プラス思考で向上心が強い。彼なら外交官にぴったりです」とエールを送った。