百周年協会=2008年後の展開を話合う=歴史編纂と文化普及に=「免税寄付をオシッピへ」

ニッケイ新聞 2010年4月30日付け

 ブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)と日伯社会文化統合機関(Instituto Brasil-Japao、中矢レナート理事長、以下オシッピと略)は27日午後、相次いで定期総会を行い、百周年後の現状や今後の方針などを確認した。なかでも百周年協会の百年史編纂事業が大詰めを迎えていることから、森幸一同日本語版編纂委員長が会計処理の迅速化を訴え、全5巻編成の順序や内容の変更を説明し、理解を求めた。またオシッピも、日本文化普及事業を継続するための企業からの免税寄付を呼びかけた。

 最初に百周年協会の定期総会が午後4時半から文協ビル2階で行われ、役員ら11人が出席した。上原理事長が開会のあいさつをした後、高橋ヒロシ会計理事が09年の会計報告をした。収入は25万1244レアルで、支出は57万1037レアル。3月までは08年度分の業者支払いがあったために、単年度では赤字になったという。しかし、08年度に繰り越した銀行残高が約69万レアルあったため、差し引きは黒字と報告された。「異議なしなら着席のまま」と呼びかけられ、承認された。
 10年度予算は収入・支出とも41万500レアルで、その場で着席承認された。内訳は、ポ語版百年史編纂事業に25万レアル、日本語版に10万レアルが計上されており、それ以外は事務所の運営経費が中心。
 森日本語版編纂委員長から、現在にいたるまで百周年協会が管理する日本語版編纂事業の資金についての月々の会計報告がないことに対し強く不満が表され、松尾治執行委員長は「あと1週間ていどで処理がおわる」と答えた。
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 そのあと午後6時からオシッピの定期総会となり、5団体役員ら11人が出席した。
 同団体の財務内容は資産が55万3816レアル。うち17万5千レアルは日本語版百年史編纂事業に、百年祭イベント映像の編纂事業に15万レアルが予約されている。そのため、10年予算は両事業の費用を含めた43万6千レアルの支出入との発表が行われ、着席承認された。
 中矢理事長は今後の方針として、つぎの2点を挙げた。まず日本文化普及のプロジェクトを作り、それに対する投資を呼びかける。プロジェクト作成には、百年祭の日本週間をコーディネートした高橋ジョー氏に協力を依頼するつもりだという。もう1点は連邦や州議員割当金をお願いするという。
 今後、最低限の経常支出を安定的に補う、定期収入を確実に確保する方法を検討する必要があるとの課題が再確認された。
 オシッピは、企業が連邦政府や州に支払う税金を、代わりに受け取ることができる特権をもった免税団体。百周年以降も団体を存続させ、日本文化普及を目的とした企業からの免税寄付の受け皿として機能する目的で設立された。
 中矢理事長は「免税寄付してもらい、ここから各日系団体やプロジェクトに振り分ける。ぜひ協力をお願いしたい」と呼びかけた。