俳句の町に仲間が集う=リベイロン・ピーレス=83人で全伯虚子忌大会=加藤淑子さん2度目の優勝

ニッケイ新聞 2010年5月4日付け

 「俳句の町」リベイロン・ピーレス市、リベイロン・ピーレス日伯文化協会が共催する「第18回虚子忌全伯俳句大会」が4月21日に同文協会館で開催され、サンパウロ市・近郊はじめプレジデンテ・プルデンテ、バウルー、アシス、サンカルロスなどから83人が参加した。ニッケイ新聞社後援。
 当日朝、再会を喜ぶ声が溢れる中、参加者を乗せたバス2台はリベルダーデ広場を出発。同市の日本庭園にある虚子の句碑に向かい、同文協の海野マサヨシ副会長の孫娘ラリッサ・モラレスちゃんが快晴の空の下、献花した。その後、同句碑を寄贈した故大海悟さんの息子大海ヤスヒコさんらとともに、百周年を記念して落成した鳥居の下で一同記念撮影を行った。
 会場では、祭壇に祀られた虚子像と遺影に多くの参加者が手を合わせた。先没者へ1分間の黙祷の後、クロビス・ボルビ市長があいさつ。村木アントニオ同文協会長は市と文協の親睦の深さについて語り、選句が始まった。
 今年の兼題は「虚子忌」「夜寒」「秋深し」「キアボ」「霧」。代表選者は小斉棹子、広田ユキ、富重久子、星野瞳、栢野桂山、杉本絃一、樋口絃海児の7氏で、選者は10句、参加者は3句を厳選する。
 グアルーリョスから参加した小林エリーザさん(89、2世)は一昨日退院したばかりだが、「大会では友達に会えるから。俳句が楽しい、やめられない」と生き生きとした表情。俳句を通じて日本語を学び、日本語の文章もよく読めるようになったという。
 「地元での開催だからいい成績を残したい」と意気込む多川富貴子さん(65、三重)は月に1回、同会場で開かれる俳句会に通う。孫と会うのが普段の休日の楽しみだが、この日は特別。同大会の緊張感を味わった。
 昼食時になると、婦人会が腕を振るう恒例のお弁当、煮物、味噌汁で昼食。午後2時過ぎごろから、選ばれた句を披講士らが読みあげると、笑顔と拍手がわき起こった。
 前年度優勝者の加藤淑子さんが最多得点で二連覇を果たし、中野秀敏実行委員長からアメジストの石の置物が、2位の杉本絃一さん、3位の原口西重さん、4位の浅海喜世子さんにはトロフィーが贈られた。
 同大会に向けて1カ月前から準備してきたという加藤さんは、「感激しています。俳句は心から溢れてくるものを書くもの。来年も頑張っていい句を作りたい」と笑顔で語った。
 大会は午後4時ごろ無事終了。中野実行委員長は「天気もよく、大勢が参加してくれて、最高だった」と元気よく話して、笑顔でバスに乗り込む参加者を見送った。
 同大会の特選句、作者は次の通り。(敬称略)
(小斉棹子選)
 学生の元気に帰る夜寒かな     堀石初枝(杉本絃一選)
 楽流れ裏町夜情を醸す霧      浅見天道
(広田ユキ選)
 野外劇夜霧の幕となりて果つ    杉本絃一
(樋口絃海児選)
 五十年住みポ語未だ秋深し    永田美智子
(富重久子選)
 霧深む埴生の宿となりし村     浜田一穴
(栢野桂山選)
 白妙の椿匂ほやか椿寿の忌     加藤淑子
(星野瞳選)
 宇宙から飛行士帰りキアボ青し  浅海喜世子